ブラジル・日本人サンバダンサーの華麗な日常

ブラジルに住む日本人サンバダンサーの全く華麗ではない日々

月と弟、そして何でも金で解決する山田

この間、弟と日系人の男友達と一緒にボンへチーロという韓国人街に行ってきた。

私はこの1年半ほどその男友達とも日本語とポルトガル語をとっかえっこして話をするzoom会を行っており、その時にサンパウロで生まれ育ったくせに韓国人街に行ったことが無いという話になった。

では共通の友人であり私たちの他に友達があまりいなくて暇そうな弟も誘い昼間から韓国料理を食べに行こうという計画を立てたのだ。

 

弟についてはこちら

www.joebrasil.net

 

 

その日系人の彼の名を仮に山田としよう。

山田はなぜか仲間内から名前でなくて苗字の呼び捨てでみんなから「ヤマ―ダ」と呼ばれており(こっちでは友達から苗字で呼ばれるのはとても珍しい)、以前は普通の仕事をしていたが、数年前からYOUTUBERとして頭角を現し、今や数千万円の年収を稼ぎ出している。

こちらで何千万もの年収を稼ぐのはとてつもなくすごいことだ。(日本でもそうだけど)

個人的には誰かに知られたら殺されてもおかしくないレベルだと思っている。

だから何か相談をしていてもすぐに何でも金で解決しようとするので話がかみ合わずついイラっとしてちょっと説教をしてしまう。

人にあんまりお金を持っていると自慢すると騙されたり利用しようとする輩も寄ってきそうで心配だ。

とか言いながら私もまあまあ彼にごはんをご馳走になったりもしており、誰が輩だかわからない。

自分の心と身体が制御不可能になりつつあるモンスターのように

「山田!俺に気をつけろ!!」

と思うときがたまにある。

なので山田はあんまり他人を信用してはいけないとますます思うのだ。(結局韓国レストランのお代も彼が多めに払ってくれた)

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写真こそ無いがこれにプルコギとビビンバ丼と餃子のスープと白ご飯×3を3人でシェアしてたいらげた。(食べすぎ)

 

その後は買い物をして街をプラプラした後、何でも金で解決する山田の家で料理を作りゲームなどをして夜まで遊ぼうということになっていた。

今日のメインイベントは韓国人街で買った明太子を使って、何でも金で解決する山田が夕食に明太子スパゲティーを作る、というものだ。

何でも金で解決する山田は自立をしたいと常々言っていて、家事が何もできない自分を恥じていた。(自分のお金で一人暮らしはしている)

それこそ金でなんとでもなりそうなものなのだが、特に料理がほとんどできないことにコンプレックスがあるようだった。

今日はそれのコーチとして私はここにいる(弟はついで)。

いつもおごってもらってばかりでは恩義が立たない。

と言っても、お腹がいっぱいだということで野菜サラダか野菜炒めもつくるという件は却下され(ダイエット中のくせによ)、当初からの予定であった明太子スパゲティ一本鎗で任務を遂行することになった。

そもそもそのために我々は韓国人街に行くことになったのだ(最近明太子は日本人街でも見かけないため。1パック80レアル=1600円くらい。高い!)。

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明太子スパゲティを作るのにコーチのいる意味があるとも思えないが、家事が何もできないダイエット中の何でも金で解決する山田にとっては手順を教えるだけでもありがたいようだった。

明太子とネギを切って、パスタをゆでて、バターを入れてまぜるだけ。

他にもいろいろやり方はあるが、一番シンプルなものにした。

海苔を細く切る任務は弟に任せた。

 

それでもそれを美味しい美味しいとたいらげ弟とお礼を言うと、家事が何もできないダイエット中の何でも金で解決する山田はまんざらでもないというようにみんなより多く自分で作ったそれを食べていた。

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食べかけてから写真を撮っていたのでちょっと汚い(撮影:NKK山田)

 

ごはんやおやつをいっぱい食べながらおしゃべりとゲームをしてダラダラ過ごす。

まるで中学生の夏休みのような休日を大人になってもできるのは悪くない。

私と弟はお酒も飲んでほろ酔いで(家事が何もできないダイエット中の何でも金で解決するまんざらでもない山田はお酒が飲めない)、酔っぱらうと流暢に話せると私はポルトガル語で、弟は日本語でずっと話をしている。

ちなみに酒が飲めず家事が何もできないダイエット中の何でも金で解決するまんざらでもない山田は親が両方日本人であることもあり、日本語もかなり流暢に話せる。

 

 

ちょっと休憩、と窓辺で月を見ていると弟が近くにやってきた。

月を誰かと見れるのは嬉しい。

親しい人と月がきれいだね、と言い合えるただそれだけでとても満たされた気持ちになれる。

ひとりで月を見ていると、私はなんで愛する人も友達も家族もそばにいないこんなところでひとりで月を見ているのだろう、とほんのりやるせない気持ちになる。

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それを弟に言うと、

 

 

『だったら月と友達になればいい』

 

 

と言う。

 

 

『それに月のうさぎとも友達になればいい』

 

と。

 

この年でこの男はなんてめるひぇんなことを言うのだ、とおののき、弟の頭のお花畑さに引きかけたが、なんかそれいいかもしれない、と思い直す。

 

次に月をひとりで見た時の自分を想像してみる。

 

これからはひとりで月を見て虚しさに身をまかせるよりも、月やうさぎとどうやって友達になろうか考えたり、仲良くなったりする。

そしてふにゃふにゃした弟の酔っぱらった姿を思い出して最後にクスリと笑うのだ。

 

うん、なんか悪くない感じだ。

 

たまには弟もいいことを言う。

 

弟はきっとこう言ったことをきれいさっぱり忘れてしまうだろう。

ヤツはそういう男だ。

 

でも、それでいい。

 

 

 

やはり友達と直接会うのはいいものだ。

たわいない会話の中で、予期せず長年の孤独を和らげてくれたりもする。

 

 

 

炭水化物ばかり食べ通しで膨らんだお腹をかかえながら、弟と、日本人の両親がいて酒が飲めず家事が何もできないダイエット中の何でも金で解決するまんざらでもない山田もとい、友達想いで優しく親切な山田の家を後にした。

 

 

頭上には新しくできた友達が黄色く輝いている。

 

 

なんでもない普通のブラジルのお休みの日。

 

 

 

 

 

お手数ですが、二つとも足跡つけていただければ助かります

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