ブラジル・日本人サンバダンサーの華麗な日常

ブラジルに住む日本人サンバダンサーの全く華麗ではない日々

サンパウロ2023カーニバル後記

今年。私はサンパウロのカーニバルに参加した。

一昨年はコロナの影響でサンバのコンテスト形式のカーニバル自体がリオもサンパウロも無かったので出られず、去年は延期して開催されたがいろいろあって出られなかったので実に2年ぶりの参加であった。

 

今回私は2つのチームを掛け持ち、ひとつはスペシャルグループでのこちらの日本人の生徒さんや駐在の方のまとめ役+山車の先端で日本風の衣装で踊るジスタキ・セントラルという役と、もうひとつはグルーポアセッソ2という上から3番目のカテゴリーのチームで楽器隊の前に踊るムーザ(女神)という役での出場だった。

両方とも経験の無い華々しいポジションであったため、新しく良い経験をさせていただいたことは有難く、本番を楽しみにしていたのだが、両方のチームとも順位が芳しくなく、結果それぞれカテゴリーから降格してしまった。

 

その上両チームとも私の衣装のトラブルがあり、当日もカーニバルを楽しむどころでは無く、また、まだその後始末のかたがついていないのでいまだ気持ちは晴れない。

 

詳しく書けばしょっぱい話と愚痴・恨み節のみで構成されることが明らかで、『ブラジル・日本人サンバダンサーの残念な日常』、とこのブログの題名自体を変えなければいけないくらい(いつも大抵残念なのではあるが)今回ばかりは笑いのひとつも入れられないことが確定しているので詳述は避ける。

 

一応私の衣装トラブルにさくりとだけ触れると、

ケース①衣装を作る人と連絡がつかなくなり、不備だらけの衣装が開始15分前に届いた。

ケース②頭の飾りの一部などが足りない状態で数時間前に受け取り、自分で作ったりして何とかしたまではまだ良かったが、出発とほとんど同時に背負子の台座の鉄がぽっきり折れた(古く弱い鉄を使われていた)

 

お金のことを言いたくないが、両方とも衣装は自前で各数十万、そして衣装の責任者はことごとく飛んでしまって連絡がつかなくなった。

 

今ちょとさわりを書いただけにも関わらず、思い出すと動悸がしてくる。

 

私の健康のためにもこれ以上書かないが(もっと酷いこともあったの♡)、私の人間的な甘さもあり、つくづくここのブラジル(カーニバル)でやっていくのは私には無理ゲーだな、と思う。

私がちょろい上、日本人だからと舐められているせいでトラブルを招いている部分もあるとは思うが、他の特別な場所で踊るブラジル人女性であってもやはり衣装が間に合わないなどのケースが無いことも無く、さらにそれに怒ったその人の彼氏や旦那が偉い人だったりマフィアと関係があったりすると銃で脅されたり、最悪殺されたりする可能性もあるのだと聞いた。

だからそういうことがあると、とりあえずみんな北へ(方角は知らん)逃げるのだと。

私は殺さないしそんなツテも無いが、命かかってるんならもっとみんなちゃんとやろ?、とブラジル人のルーズさに頭を抱え込んでしまうくらいに、そういう部分ブラジルナイズすることが私にはいまだに難しい。

 

衣装のトラブルがあり全然思ったようなパフォーマンスができず楽しむどころではなく間違いなく寿命が縮んだとしても、今回私は一応カーニバルに出ることは出れたし、それぞれのチームの大部分の皆さんからはわりと良くしていただいた。

かっこつけるわけじゃないが、一緒に出場する他の日本人の方たちが怪我や大きなトラブルが無く出場できることが最優先で、自分は二の次、後回しにしていた。

自分だけのトラブルのほうが数百倍は気が楽ではあるので私の衣装トラブルの話はここで手打ちにしたい。

(他の日本人のご参加の皆さんは直前のスコールでずぶ濡れになり滑りやすくなった足場での最悪のシチュエーションの中でも健闘してくれ、それなりに楽しんでくださったようだ。)

みんな頑張ったのに順位も悪くて本当にがっかりだったが、勝ったり負けたり、そしてトラブルもカーニバルのうちだ。しょうがない。

これらの辛酸もいつか“熱血サンバ漫画の原作者になる”(絵は描けない)という夢に役に立てようということで無理やり前を向く。作画絵師募集。

 

もっとサンバやカーニバルについて素敵な話をぜひ伝えたいのだが、私は基本的に根が暗いためそもそも光を当てる話の箇所のチョイスがおかしく、あと本当にこんなことが起こったり見聞きしたりもするので、読後感が爽やかではないことをお届けすることになってしまいいつもすまないと思う。

サンバをやっている人がみんな明るい性格だと思ったらとんだ大間違いでしたね。

ただ、毎年のようにトラブルが生じてうんざりし、なんだかんだ言いながらも私がブラジルで20年くらい前からカーニバルに参加し続けており、そして来年も参加するだろう、という事実を知って、それでもやはりカーニバルは素晴らしいということを感じ取っていただければ幸いである(じゃあそこを今ここに書け)。

 

今回はこれでもネガティブ感情を押し殺して書いたためやや乾いた感じのブログになってしまった反省からここらで景気よく、今回出発前の背負子が壊れる前に撮った数少ない私の素敵写真(山車の先端で出たチーム)をこちらにブチ上げて最後に少しはカーニバルの良さを皆さんに知らしめたいと思う。

 



カーニバルのことをブラジルの邦人紙で記事にしていただいたので、ご興味のある方はこちら

https://www.brasilnippou.com/2023/230223-22colonia.html