ブラジル・日本人サンバダンサーの華麗な日常

ブラジルに住む日本人サンバダンサーの全く華麗ではない日々

高低差ありすぎて耳がキーンとなった友人の話

やっとこの間一年ぶりにブログを更新したところだが、更新しない間に

『ブラジリアン電子レンジダイエットを知ってるかい?』という、書いた私さえ知りはしないもの(捏造)が下書きに放置してあり、我ながらネタが無いのに何か書かなければと試行錯誤だけはしてみた痕跡がうかがえた。

私の日々はあまり代わり映えがしないので、今日は去年の12月24日から31日にかけての、Sちゃんという私の仲良しの友達の話だ。今回はブラジルもサンバも全く関係がない。

彼女は日本人で日本に住んでいるのだが、私が落ち込んだ時などは令和ではもう誰もしない初期のトシちゃんのモノマネをして慰めてくれたりする、少々笑いのセンスが突出しすぎた愉快で心優しい友人であり、私の独身仲間のひとりでもある。

 

実は12月半ばにその友人のお母さまが急に倒れて手術をされた、という話を聞いており、遠隔ながら無事を祈っていた。その後お母さん大丈夫かい?という連絡をしていたもののzoom新年会でいろいろ話そうと言っていて、看病で忙しいのだろうから回復報告を落ち着いたら聞こうと思っていたのだが、その新年会でお母さまはクリスマスイブの日に身まかられたという報告を受けることになってしまった。

 

しょっぱなから飛ばしてzoomの画面越しに覚えたての、錦鯉「ノリノリまさのりさんダンス」を披露した自分が悔やまれる。

 

「いっぱい泣いたし、とても悲しかったけど、でも良い病院と担当医さんに当たったみたいで、手術の時もわかりやすくちゃんと説明してくれ遺族のケアとかもしてくれたのがとても有り難かった。」

しかもその病院には、

①インテリ風色白のイケメン医者

②色黒で背の高いイケメン医者

③20代とおぼしきヤングイケメン研修医

と、担当医にはカッコいい上に感じが良く、乙女ゲーのようなイケメン医者が三種取り揃られており友人曰く、

『ど・れ・に・し・よ・う・か・な♪』

状態で、

友人が選ぶ立場ではないのは明らかなのだが、みんな指輪をしていないのをめざとくチェックし、激務である彼らをかいがいしく支える未来の自分をかなり入念にシミュレーションしていたという。

手術を終えても意識の無いまま入院していたお母さんのことがすごく心配で仕方なかったのではあるが、医者という眩いステータスとタイプの違うそれぞれのイケメンぶりに目がくらみ、こんな時なのに見初められようとしてついつい去年買った一度も袖を通していない高めのワンピースを着て行ったりしてた、タグとかいちいち切ってw、

と笑って言うので、こっちは笑ってもいいものか複雑な気持ちで話を聞き進めていった。

 

「亡くなってから看護師さんに、娘さん、お母さんにお化粧して綺麗にしてあげてください、って呼ばれて、顔にかかっている白い布を自分で取らなくちゃいけなくてね。兄なんかは現実に直面するのが怖いってできなくて、私もすごく怖かったんだけど、、、。」

白い布をめくってみたら、どう考えてもお母さんの入れ歯の位置が普段と違っておかしく、“明石家さんまのモノマネをする人のつけ出っ歯”くらいに出っぱっていて、押しても抑えつけ続けてもどうにもこうにも引っ込まない。

それを見てお兄さんと顔を見合わせて思わず吹き出しまったという。

う~む、非常に不謹慎で感心している場合ではないが、見事な緊張と緩和だ。

(その後病院の方の協力のもとアゴをタオルでくくったりいろいろやってついに引っ込んだそう)

そんなこともあったりといろいろ気を紛らわすようなこともあったので、悲しい暗い気分だけで過ごさないで済んだのが良かったのだと言う。

何よりその悲しみの最中にあっても私たちからウケを取ろうと短い間に話を仕上げてき、さらにブログに書くことを快諾してくれたその友人こそが一番不謹慎なのではあるが、お母さんはとてもおおらかな方だったので笑って話を聞いてくれたらいいとのことで、さらにお母さんにまつわるエピソードを聞いていった。

 

友人は数年前にお父さまも突然亡くしており、その一報を聞き心配して家に駆けつけてくれたいとこさんが、今はご飯を作って用意したりする時間も気力もないだろうからと気遣ってくれ、友人と二人で近所のスーパーまでお惣菜等を買い出しに行った。

お母さんの大好物はお赤飯で、こんな時にといとこはさすがに渋ったが、一応買うだけ買って行こうということになりお母さんの待つ家に着くと、数ある総菜の中でお母さんは真っ先にお赤飯に手を伸ばしたそうだ。

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前述通り、お母さんが亡くなったのはクリスマスイブの日だった。

 

 

友人の兄は現在実家のそばで一人暮らしをしており、前から予約をしてあったケンタッキーパーティーバーレルをわざわざ取りに行き、亡き母の傍らでひとり、あの例のおじさんの顔がプリントされ浮かれた感じでデコられたでかいバケツに入ったチキンを食していたという。名前。

ケンタッキーに罪はないが、実母が亡くなった日に食う名の食べ物では決してない。

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https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000106.000032088.html 出典:PRTIMES

 

 

ご時世柄お葬式などはしなかったそうだが、若い頃体育の先生をやっていたお母さんは皆に慕われており、たくさんのご友人や元生徒さんたちが訪ねてきてくれたそうだ。

その対応やら何やらで、彼女はこのクリスマスから年末をバタバタと過ごしていった。

 

ところで私の友人はわりと占い好きな女だ。

以前からよく当たるという占いYOUTUBERの動画などを私にも送ったりしてくれていた。

 

少し落ち着き時間のできた大晦日の夜、NY在住であり長年憎からず想っていた男友達と彼女は電話で話をしていた。

ゲッターズ飯田の話で盛り上がり、お互いページを繰って(男友達も同じ本を持っていた)2021年の運勢を見ていると、今年中に結婚を決めよと書いてあったので『えー、やばい、どうしよう、あと2時間しかないじゃん。もーすぐ決めなきゃ間に合わないから、あなた結婚してよ(笑)』

と冗談半分で言ってみた。

もちろん冗談で流されると思っていたら向こうは何かのスイッチが入ったようで、本当にその場で話がまとまり、見事年内中に結婚が決まった。

 

「ね、高低差ありすぎて耳キーンとなるでしょ」

と、彼女は言った。

 

お母さんの突然の死からわずか一週間での婚約。

お母さんが残された娘をご心配されてこういう計らいをしてくれたようで嬉しい。

 

Sちゃんのお母さん、直接お会いできなかったけど、話を聞いて大好きになりました。

何より、私の大好きな友達をこの世に産んでくれてありがとうございます。

心よりご冥福をお祈りいたします。

 

 

でも当の友人は、この先まだどうなるかわからないから、もしうまくいかなくっても優しく受け入れてね、と言う。

 

彼女がモノマネでいつも私を笑わせてくれたように、もし何かあって悲しい気持ちになった時にも彼女を慰めたりできるよう、私も「ノリノリまさのりさんダンス」をもっと練習しておこうと思う。

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出典:のりのりまさのりの〜シケていやがるゼ!!〜 : ハリウッド寄席公式Blog