今日近所を買い物の途中近くを通ったので、インパクトのあるキリスト像が怪しくて前から気にはなっていた、ブラジルのアフリカ由来の宗教『カンドンブレ』の儀式に使うものなどを扱っているショップにふらふらと立ち寄ってみた。
入ってみたらなんかいろいろ充実していて面白かったので、普通に暮らす日本人にはまったく関係が無く全然役に立たない情報を今日も皆さんにはりきってお届けしたいと思う。
私だってカンドンブレとは全く関係は無く用も無いので、以前の記事にも書いたリオの友人ヤスミンちゃんの『マクンバの儀式』の買い物に付き合うときくらいしかこういった店に行ったことは無いのだが、“マクンバショップ“ってどんなのかな?と気になってあれからというもの一睡もできないでいる方々のために、今日は写真をたっぷりつけて心ゆくまでご紹介したい。
今夜、貴方がぐっすり眠れますように。
まず、カンドンブレという宗教についてあんまり私も理解していないので、ふわっとだけ説明すると、アフリカから奴隷として連れてこられた黒人の宗教がカトリックとスピリチュアル、ブラジル先住民インディオの宗教などもろもろとミックスされて独自の変化を遂げた宗教らしい。
カンドンブレとマクンバはまったく=ではないようで、私の理解だとカンドンブレの中の一形態がマクンバ、という風に捉えている(間違ってたらすみません)
ここでも私がマクンバをやったときのことを書いたが、
マクンバは、そればかりではないが“人を呪うための儀式”という側面があり、そういったイメージがブラジル人の中でも強いように思う。
だからマクンバをかけられたと噂に聞いただけで怯えて死んでしまうような人もいるのだ。
対するカンドンブレにはあまりそういう印象がない。
きっとそういう部分も内包してはいるが、基本としては教会のような場所があり信仰してる人たちみんなで儀式に参加する、という感じで、そこらへんは普通の他の宗教と変わらないのだと思う。
ただ祭壇に生贄的なものを飾ることがあったり、それに参加する衣装が独特だったり太鼓を叩いて踊ったり歌ったり、トランス状態になることもあるのがかなり独特でおどろおどろしくは見える。
私も大きいカンドンブレの儀式を何度か見学したことがあり(バイーアでは観光用のツアーなどもある。また、たまにリオのコパカバーナのビーチで儀式をやっていることもある)、暗い部屋で蝋燭の灯りがが煌々と輝く非常に怪し禍禍しい雰囲気の中、踊っている最中にトランス状態になってバタバタと倒れる人たちを見たときはギョッとした。
https://3talheres.com.br/o-poder-da-comida-e-da-gastronomia-do-candomble/
話が長くなるのでこれくらいで切り上げよう。(あとあんまりわからないので)
もうひとつだけ説明するならば、カンドンブレには神様(精霊)や聖人と呼ばれるギリシャ神話のような、それぞれのいわれを持ったたくさんのキャラクターがいる。例えば海の女神イエマンジャー、戦いの神オグン、などというように。
大きい儀式では各一人それに扮した人がそれぞれの衣装をつけて踊ったりする。
上3枚の写真はカンドンブレやブラジルの黒人文化を超神の完成度でラスベガスもびっくりのショーとして昇華させている、過去記事にも書いた、
バレー・フォルクローリコ・ダ・バイーアというバイーア地方のショーのものだ。
何度も言うがお願いだ。一生のうち一度は見て欲しい。
つい熱くなって話が逸れてしまった。
カンドンブレについてなんとなくの雰囲気はおわかりになったかと思うので、
それではここからはどうぞ私と一緒に行った気になって、店内の様子をお楽しみください
入口ではまずこのおじさんが迎えてくれる。
おじさんとか気安く言ってはいけない。有名な聖人のひとりなはずだから。
店内に入るとさっきの聖人おじさんと裸んぼう伯爵。これは等身大ではなく三分の二くらいの大きさ。
店内入口近くの様子。さらに左右に分かれてスペースが広がる
右奥には先住民インディオの頭の飾りが
儀式で使う衣装の頭と手足の飾り
等身大の精霊の衣装。これに土台を入れて膨らませた長いスカートをつける。この赤い衣装は男性の聖人のもの。男性でもスカートをつけた衣装が多い
それぞれの衣装は精霊や聖人のキャラクターのコンセプトに沿って色や形を変えて作られている
さすがカーニバルの国というクオリティ。サンバの衣装と同じ作りなので買いたい衝動に駆られたが、ここで売っているのは頭と手足の飾りだけで、一番肝心のビキニ部分がまるまる無いので諦める。
奥に行くと葉巻や見慣れないタバコ、パイプやセンスなど
アフリカ品コーナーと書いてあった
何に使うんだかさっぱりわからないものも売っている
バイーア地方の人が正装のときによくつけるビーズのアクセサリー
奥まで行って角を曲がるとさらにたくさんのものが置いてある。カンドンブレの聖地バイーアでもこんな大きなところは見たことはない。
まさに充実の品ぞろえだ。(昔アフリカから黒人たちが奴隷としてブラジルに連れてこられたのがバイーアという地区だったため、バイーアは今も黒人率が高くそのため今も黒人文化が根強く残っている)
鍋や木のスプーン、特大スプーン、素焼きの皿など
小さめの祭壇のディスプレイ
大きい祭壇のディスプレイ 他の宗教のものも取り扱ってるのかも。
色とりどりの蝋燭が並ぶ
こんなにぶっとい蝋燭も(右横は大きさを表す比較の定番であるタバコの箱です)
儀式で使うシャンパン。箱買いで割引き、と書いてある
儀式で捧げる食べ物に使う材料。ヤスミンちゃんはレシピを見ていたので、たぶんそのたびにお告げで用意されたものを調合して作るのだと思う
お風呂、と書いてあるので儀式の前後に身を清めるための液体、だと思われる
たくさんの壺、食器類
キレイな石や貝殻
関連書籍やDVD
さっきの祭壇のディスプレイにもあった王様椅子
儀式で演奏される太鼓
宙釣りになっているのはカポエイラで使われる楽器、ビリンバウ
レジ近くで引きで撮った店内の様子。手前中ほどにある色とりどりの長細い箱はお香
おびただしい数のそれぞれの聖人たちの人形で棚の両側が埋め尽くされている
よく見るので私も知っている聖ジョルジ兄さん
黒人のマリア様と言われる聖ノッサセニョーラ・アパレシーダ姉さん
7段になったスカートを履いているセッチ・サイア姉さん。以前この姉さんが降りて来て私にお告げをした。
下に書いてあった札を見て、さっきの入口のおじさんはサンバ界でもおなじみのマランドロさんだったか、と気づく。
サンバ界ではこのような格好に扮した男性の巧みな踊り手さんのことを『マランドロ』と呼ぶ。
どのチームでも彼らのサンバショーの時の正装ユニフォームは基本このようにスーツに帽子というのをフォーマットにしていてそれぞれのチームカラーでバリエーションをつけたりする。プチサンバ情報。
マランドロの女性版がいるとは知らなかった。と思ったが、よく思い返してみたらこれもサンバのショーであるチームの女性の踊り子さん『パスィスタ』たちがこういった衣装で踊っているのを見たことがあった。
(※だが通常のショーでは例の羽根つきのサンバ衣装かチームで作った露出度高めのお揃いのワンピースなどの場合が多いのでこのスタイルはサンバチームの踊り手女性の一般的なユニフォームではない。)またサンバプチ情報。
マランドロ(女性の場合はマランドラ)とは一般には『悪党』の意。
ずいぶん牧歌的な人が急に出てきたけどこれも聖人か?と思ったが、たぶんこれは昔のバイーアの民の人形。だがなんでそれを人形にしていてどうやって使うかは不明。特に左のちょっと太ったやつ。君は誰だ。
こんな人も出てきた。パンイチ革靴おじさん。本当にどういうつもりかわからない。
別に普通に通り過ぎようとして、これ、ヤギとかの角なんじゃね?って思ってちょっとしょっぱい気分になった。でもヤギはこんなに角生えないか、と思ってほっとする。が、何か動物の角であることに変わりはない。何に使うのか、と、もう問いはしない。
やっぱりあったねしゃれこうべ。怖いね。何のためなんだろうね、あ、また言っちゃった。いやほんとに。
大きさがわからないと思うが、この棒はバットくらいの大きさだ。ハーブを擦ったりするんだろうな。
魔除けなのかな。アフリカン置物。同級生でこういう顔の子いたな。富樫君お元気ですか?
一周回り終え、また入口のとこに戻ると、葉巻コーナーの向かい側にちょっと高級感のあるコーナーがしつらえてあって、
マランドロ御用達の香水ブランドの品が売ってあった。商業しているなあ。
一通り見終えて入口に戻ると、さっきは気が付かなかった拷問器具のような何かが外に飾ってあったのが気になった。やはりこれは奴隷の象徴なんだろうか。ちょっと考えさせられる。
そして外に出るとマランドロの絵と共に壁に何か書いてある。このこっちの美容室のオーダー表のようなものは読んでみるとこのお店のものだった。
ここには各精霊の特徴が書いてある。オシャラー:光をもたらす者、ナナ―:知性、シャンゴー:正義。その後は好意、勝利、愛、強さ、親愛、喜び、健康、良い道すじ
その他の吹き出しには各々宗教的なメッセージが書いてるようだ。
ここには『私の神々への信仰は私の人生に現れるどんな障害よりも大きい』
と書いてあった。
非常に充実した気分で店を後にした。
こんな家から歩いて行けるような距離のところでもちょっとした旅行気分が味わえるなんてお得な気分だ。
リオやバイーアに行ったときのことを思い出し、ああ、旅行に行きたいなー、と思う。
まだ旅行などには行きにくいご時世なので、残念ながら安心して旅ができるのはもうちょっと先になるだろう。
でも探してみたら案外身近なとこにもこんなふうに楽しめる場所があるのかもしれない。
なのでまた身近で面白そうな場所が見つかったら皆さんに報告させていただきたいと思う。
素敵女子が書くような最近流行りのお洒落なカフェ情報とかじゃなくていつもすまないと私だって少しは思っている。
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