一応サンバダンサーを名乗っているのにサンバやカーニバルについての記事をほとんど書かないことに定評がある私であるが、まだ私を架空のお笑いサンバダンサーだと思ってる素人さんに警鐘を鳴らすため、この数回はカーニバルについてのことを書いてみたいと思う。
一週間後はカーニバルである。
あれ?今年のブラジルのカーニバルは延期になったんじゃないの?というブラジル通な方もいらっしゃるかもしれない。
リオやサンパウロのコンテスト形式のカーニバルはオミクロン株によるコロナ感染再拡大のせいでおっしゃるように4月に延期となったのだが、『カーニバル』とはなにも『サンバカーニバル』とすべてイコールではなくて、
カトリックを信仰する諸国で,復活祭に先立つ 40日間の四旬節の前,3日ないし 1週間にわたって催される民俗的な祭り。謝肉祭とも呼ばれる。カーニバルとは - コトバンク
というものであるので、そういった国ではお祭りが無かったりコンテスト形式のカーニバルの日程が移動したりはしても本来のカーニバルの暦自体が移動したり無くなるということはない。
日本ではフェスティバル=カーニバル、というように混同し“派手ででっかい洋ピンのバカ騒ぎ“というムードだけでカーニバルという言葉が乱用されがちだが、本来はちゃんと歴史に基づいたものなのだ。
日本の方はブラジルのカーニバルと言えばサンバ、と思われることだろう。
最大級のカーニバルイベントはリオのサンバカーニバルで間違いなく、サンパウロやその他の都市でも大小問わずサンバのカーニバルがあるわけだが、カーニバルとはコンテスト形式のサンバカーニバルのことだけを指す訳では無くてブラジルには他の音楽や他の形式での『カーニバル』が存在する。
〇リオ・デ・ジャネイロ サンバカーニバル
・マルケス・ジ・サプカイと呼ばれるサンバ会場でのコンテスト形式のカーニバル←これが日本の方が想像されるカーニバル
・カーニバル期間に道のあちこちで行われるブロコと呼ばれるもののカーニバル。
コンテスト形式ではなくて、楽器隊が生演奏で道を練り歩く。(去年に引き続きリオやサンパウロでは中止)
専属ダンサーは音楽のジャンルやチームによっては特にいない、いても衣装もビキニに羽というスタイルではないことも。
サンバばかりではなくそのブロコというグループのコンセプトによって、古くからのマーチ曲や近年は他の音楽であるケースも多い。
道のカーニバルでは一般の参加者は本格的な衣装はつけず、チームのTシャツを買ったり自前で軽い仮装をして道を踊ったり歩いて行進に参加したり、気軽に飲みながら通り過ぎるのを眺めたりする形式。
このブロコはリオのみならず全土各地で行われていて、コンテスト形式のサンバのカーニバルに参加するほどではない、とかサンバじゃない道のブロコのカーニバルにしか興味が無い人たちもたくさんいる。
(あるいはブラジル人であってもカーニバルイベント自体に興味が無い、騒がしくて嫌いなので旅行に行く、という人も多い。
ブラジル人であってもみんながサンバステップを踊れる訳ではないし、全員がサンバが好きな訳でもないのだ。)
この下の写真は私がサンパウロでその地域の小さなサンバブロコで踊ったときのものだが、このようなものが各地の道々でサンバか否かを問わず行われており、このような郊外での小規模なものは日本でいえば町内会の盆踊り大会と同じ感じだと思うとイメージしやすいだろう。
私がリオでサンバのブロコの女王として参加した時の話はこちらだ。
今日の話はちょっと硬い。とてもおもしろいのでこのお話でも読んで少しご休憩いただきたい。
〇サンパウロ
・アニェンビーと呼ばれるサンバ専用会場で行われるコンテスト形式のカーニバル。
細かな規定など違うところもあるが、コンテスト形式である大枠はリオと同様。
・サンパウロでも道でやるブロコはカーニバル期間いろいろな場所で行われる。
〇バイーア
・トリオエレトリコと呼ばれるでっかい装飾トレーラーの荷台で主にアシェーという音楽ジャンルの有名な歌手たちがそれぞれ大通りをコンサートをしながら通っていく。
参加Tシャツを買ってイモ洗いでもみくちゃの中、それに歩いたり跳ね踊ってついていったり、その時期だけの特設有料観覧席で見ることもできる。
なのでバイーアのカーニバルは基本的にアシェーのカーニバルと言われていて、カーニバルであってもサンバはほぼ無い。
こんな感じで巨大トレーラーをステージにしたものが何台も連なって有名歌手がアシェーの軽快なリズムに乗ってパワフルに歌い上げパレード会場の大通りを盛り上げる。
他にもブラジルで有名なのがレシーフェやペルナンブッコのカーニバルだが、これらも
バイーア同様にメインはサンバではない。
日本の詳しくない方はブラジルのカーニバルというと否応なしにリオの『コンテスト形式のサンバカーニバル』だと思われる方が多い。
話をしているとブラジルの『カーニバル』という言葉をサンバやカーニバルやブロコやカーニバル期間のことなどを混同していてリアル「ちょっと何言ってるかわからない(富沢)」状態となることも多いので序章にざっと違いを説明してみた。
ああ、ちょっと肩が凝る。こういった硬めの説明はあまり得意ではない。本当はいつものようにもっとふざけたい。
駆け足であるがさわりのカーニバルという言葉についての説明は終わったので、今年は去年に続き私もこのカーニバル期間は時間があることだし、次回はこのコロナ禍のカーニバル開催についての経緯を実際私が体験したエピソードを交え書いてみたいと思う。
どうぞお付き合いください。
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