さて、カーニバル2022シリーズ第二弾だ。
今回はコロナ禍においてのブラジルカーニバル開催についてお話しよう。
その経緯を時系列に沿いながら私の状況やコメントをはさみ、そこから知らず知らずにブラジルのことがよくわかるような大変お得な仕組みで書いていく。
なお、ここでいうカーニバルはリオとサンパウロにおけるサンバのコンテスト形式のカーニバルの意味で使用しています。その理由はこちらを。
2020年2月 カーニバルコロナ感染者がブラジルでもぽつぽつ現れたがカーニバルはなんとか開催
今思うと本当にギリギリ逃げ切った感じだった。あと1ヶ月時期がずれていたらそれどころじゃなかっただろう。
まだこの時はブラジルは感染者がとても少なく、日本のほうが断然多かった。
カーニバル一週間後にブラジル人の友達の誕生日パーティーに顔を出したのだが、私を見た他の出席者に「コロナ」とぶしつけに言われて非常にムカついた。
友達の誕パでなければ大暴れして釘バットでそいつをひき肉にしていたところだ。
それくらいその頃はまだコロナは中国人がかかりブラジルに持ってくる病気だというような認識が強かった。(こっちでは中国人も韓国人も日本人も同じようなものだと思っている人がとても多い)
道を歩いていても変な知らんブラジル人に指をさされコロナ!と通りすがりに何度か叫ばれたのもこの頃だ。
※感染者数はその月の多めの週の平均、さらにそれの四捨五入のどんぶり勘定なので参考程度に見てください
2020年11月 感染者数3万人 2021年の2月のカーニバルが7月に延期と発表される
このニュースを聞いた時、まず思ったのは、え?7月?やだ寒くない?だ。
中止もやむ無しだろうな~、と覚悟はしていたが、延期という手でくるとは。
だがブラジルの季節は日本と真逆なので、7月は一番寒いくらいの時期なのだ。
もちろん日本の23倍の大きさを持つブラジルなので日本の方が想像されるように常夏に近い気候の場所も存在する。
だが、リオとサンパウロはそうではない。
特にサンパウロの冬はセーターにダウンを着るくらいには余裕で寒くなる日もある。
リオも一回寒波が来ればTシャツにパーカーをはおりたいくらいには寒くなる日もある。
以前サンパウロの2月の真夏の時期でさえカーニバルがものすごく寒い日にあたってしまい、ほぼ裸(ビキニに羽的な衣装)のままふきっさらしの待機場所で3時間ほど凍えながら待っていたこともあった。
それでテンションなんか上がるか。
だから7月のカーニバルって現実的じゃないんじゃないかという気はしていた。
2021年1月 感染者数5万人 7月に延期されたカーニバルも中止に
ですよね。絶対寒いよなあとは思いながら、その頃コロナが落ち着いていたらこのいつもとは違ったカーニバルに出るのもそれはそれで面白そうだとも思っていたのが、この状況ではどうしようもない。
早めに中止を決めたのは英断かと思われた。
カーニバルが行われなかったのはコンテスト形式のカーニバルが始まって以来史上初だったそうだ。
2021年 6月 感染者数7万人 ブラジル新型コロナウイルスの死者50万人超える
この頃、もう麻痺してしまっていてこの数字に何も感じなくなってしまった。
去年のサンパウロの冬は例年よりもすごーーーーーく寒くて、これで7月開催されていたとしたらさぞかし大変だったことだろう。
これは南の方の話だが(ブラジルは日本と反対で南の方が寒い)、ブラジルなのに今年雪が降ったという記事
2021年 8月 感染者数3万人 2022年のカーニバルはやる方向、観覧チケット等も発売される
おいおい、感染者は減ってはいるがまだ3万人。
日本だったらパニックになってもおかしくない数字だ。
この状況で本当にやるのか?と思っていた。
私は普段は雑で大味な人間なのだが、意外にこういう部分は慎重で保守的なのである。
サンバチームの練習が本格的に始まるのがこの頃からで(チームによる。だいたい8月~10月から)でも私は出場する決心がつかず、2022年の参加はもう少し様子をみることにした。
2022年1月 感染者数18万人 去年に続いて道のブロコのカーニバルは中止決定も、コンテスト形式のカーニバルは開催予定と発表→カーニバルにおいてダンサーにもマスク義務付け(サンパウロ)→2月のカーニバルを4月に延期を発表
1月の間にバタバタといろんなことが動いた。
(こちらでは州ごとに物事を決定するので、基本リオの情報をもとの時系列となっているが、特に何も書いていないのはサンパウロもだいたい同じ時期に決定していると思ってください。)
去年の10月ごろから感染者数が安定して減っていたのでカーニバルは順調に2月にあるものと思っていた人が多く、私もこのままいけばブラジルだったら多少強引にでもやるのかもな~と思いはじめていた。
だが、それがどうなるかは年末年始を超えてみないとわからないとはずっと考えていた。
こちらは年末年始に帰省だ旅行だといって人が大移動するので去年同様感染者がめちゃくちゃ増えるだろうと予想していた。
案の定1月半ばにはオミクロンの特性も相まって感染者数は爆上がりになった。
各州はそれでもなんとか開催の方向で頑張っていたが、結局にっちもさっちもいかなくなって今回の延期の決断を下した、
と、こういう流れだ。
いくらオミクロンは死者が少ないとはいえ、感染者数に相対して重症者も増えてしまう。
病院が他の病気の患者の対応ができなくなるという問題もあるし、出場者と観客に制限をかけることになっいてどんなに皆が気をつけていてもそこで感染者が増大する可能性は高く、これも仕方が無かったと私は思う。
結局この発表の前、11月終わりには既に私は今年のカーニバルには出場せず、ここ数年サンパウロで行っていたカーニバル出場ツアーも今年はやらないことに決めていた。
別にみんな私がカーニバルに出ようと出まいとどーでもいいと思うのだが、ま、一応書いてみた。
それぞれの状況も違うし各々の判断なので、出場を決めた方については応援している。
で、4月に延期された今年のカーニバルはいったいどうなるのか?
わからん。
としか言いようがない。
4月にやる予定にはなったが、状況によってはまだわからない(サンバ会場でのスペシャルグループ開催はリオ・サンパウロともに4月22,23日を予定)。
またカーニバル休暇時(暦の上ではカーニバルなので従来通りお休みのところも多い)にみんな旅行などに行くので年始ほどではないがもう一度感染者数が上がるだろうと予想する。
希望的観測で言えばその後下がっていってそのまま何もなければ重症者数が去年の落ち着いていた時期くらいに戻りカーニバルも開催できるのではないか。
しかし、あと2か月くらいでは全く収まるという状況になるのは難しそうだ。
感染者と濃厚接触者の隔離が必要になる日にちも4月までのうちに劇的に短くなるという可能性も少ないだろう。
何を言いたいのかと言えば、たぶんみんなそうなるのはもう薄々気がついているのではないかと思うのだが、カーニバルが4月に行われるとして、コロナにかかった、あるいは濃厚接触者として自宅待機を余儀なくされ直前で出れなくなるという出演者が続出するだろう、ということ。
山車に合わせた衣装でワンポジで出る人や、決まった振付けがあって衣装も替えの効かない重要なポジションであった場合は特に、急に当日来れなくなったら代役を立てようにももうどうしようもない。
真ん中がワンポジの人、さらに後ろの人たちは振付けのある人たち。一見いなくなってもわからなそうだが、事前に審査員にどこに誰がいてどの衣装で何人かということは知らせてあるので、いないと減点対象になる。
また、海外や他の州や街から数十人単位で参加するグループも例年いるので、それらがまとめて直前にキャンセルするケースも十分考えられる。
私が心配しているのはいたるところでそういった問題が勃発して、もし敢行されたとしても不自然に穴だらけのカーニバルになってはしまわないか、ということだ。
コンテスト形式である以上審査基準があるわけだが、そういった状況になったならまともに審査だってできはしないだろう。
さらに、コロナだとわかっていてもカーニバルに出たいがために感染を隠して出場して周りに移してしまう人も絶対に出てくるはずで、それはもっと最悪の話になる。
いろいろ書いているうちに、4月の開催も危ういような気になってきた。
だがその一方、もし実際にやる、となったらこの国ならそんなのどうにでもしてしまうのだろう、とも思っている。
私はそれを知っている。
ブラジルでの数々の苦い経験からそれを体感している。
滅茶苦茶でもなんでも、とにかくブッちぎってやってしまい、なんとかしてしまう。
または全然なんともなってなくても、あーなんとかなってよかったよかった、で終わるのだ。
いい悪いは別として、私の知ってるカーニバルはいつもそういうものだ。
いつもこの国は私の想像をはるかに超えてくる。
なのでもしやると決まれば私の心配など取るに足らない細かいことで、彼らにとって大した問題ではないのだろう。
いろいろ書いたが、私が何を思おうと誰かがどうこうできるような問題ではないので、結局結論は出ない。
今年のカーニバルが4月に予定通り開催されるかどうかは今後のコロナ状況の推移により、それへの州政府それぞれの判断を見守るより他はない。
今日も笑いのひとつも入れられなかった。反省。
やはりコロナが絡むことはさすがに迂闊に茶化せない。
こんな回もあるということでお許しいただきたい。
次回はなぜ私がカーニバルは滅茶苦茶だと思うに至ったかのエピソードのひとつを書いてみたいと思う。
次はハラハラさせるよ!
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