ブラジル・日本人サンバダンサーの華麗な日常

ブラジルに住む日本人サンバダンサーの全く華麗ではない日々

ブラジルカーニバル2022③嘆け!ビキニ侍!!その1 

カーニバルに興味が無い人にとってはとっつきづらいお話が続いたので、今日はいっちょ景気のいい話、では全然ないのだがわかりやすい話を、ということで私のサンバ人生の中で一番ハラハラしたカーニバルの話をしたいと思う。

以前の記事はこちら

 

 

www.joebrasil.net

 

あ、すみません、今年はカーニバル延期になったのもあって今年の話じゃありません。

題名に偽りありですが、“2022年に書いちゃってるカーニバル記念シリーズ“なのでそこらへんご理解の上でお読みになってください。

 

あれは2018年のカーニバル。

私は長年通ってきたリオとの二重生活に気力、体力の限界を感じていた。

当時の生徒さんたちに以前から請われていたカーニバル参加ツアーを前年からやり始め、同時期にリオに通うのはもう無理だと、この年から生徒さんやそのお友達の日本人の参加希望の方たちと一緒にサンパウロのカーニバルに出ることにした。

そんな女ウルフ(わかるかな、千代の富士)が門を叩いたのはあるサンパウロの老舗チームで、長い低迷期の末その年にやっと久しぶりにスペシャルグループ(サッカーにおけるJ1みたいなトップグループ)に返り咲いたところだった。

前年には他のチームでツアーを仕切ったのだが、口約束ではいろいろ反故があったため今回このチームで出場を決める際にはネイティブの友達についてきてもらってチームの会長と面談して正式な契約書を作り、衣装は1週間前には届ける等の事項のサインをもらうなど、私のくせに準備を抜かりなく行った。

 

なぜ衣装の項目を盛り込んだかというと、ブラジルでは衣装の受け渡しが直前になることもしばしばであるからだ。

今日は衣装の受け渡しがあるからと言われて行って何時間も待った挙句、今日はやっぱり無し、と言われることも珍しくない。

一度なんて当日夜になっても衣装の受け渡しが無く、真夜中になってやっと出来たから衣装を取りに行け、と言われてその受け渡しに指定された作業場に急行すると衣装にはまだ飾りが一切ついていない状態で、他のメンバーと一緒にぎゃー!間に合わないー!と叫びながらみんなで作業をしてギリギリに完成させてそのまま出場したこともあったほどだ。(その時の出番は最後から二番目で朝方だった)

 

そんな自分の衣装だけでも疲弊するのに充分であるのに今回は50人分の衣装で私がその責任者だ。

絶対に生徒さんたちを私のような目に遭わせるわけにはいかない。

みんなに安心してカーニバルに参加してもらうために余裕を持って事前に受け取って、サイズ直しをする時間だって欲しい。

 

だが、高跳びの選手がバーを越えるより軽々とその契約はブッチされた。

 

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一週間前になってもまだ衣装ができていないという。

 

こういう時は受け取り場所に直接行って待つしかない。

6日前 できていない

5日前 できていない

4日前 できていない

3日前 できていない

2日前 全部受け取れたのは2人分のみ。半数くらいがいくつかのパーツを受け取れたが、大事な頭の飾りや背負い羽の部分は無く、さらに半数くらいの分が何もできていない 

1日前 子供の出場する生徒さん9人分の衣装の服の部分は出来上がり取りに行くが頭などの飾りの部分はできていない

 

っと

をあらう

んど人は

かなか

ない

 

と、インドの人が聞いたら怒りそうな匂わせあいうえお作文を思わず書いてしまうほどできていない

 

今日できる明日できる、と言われてその受取り場に行き何時間も待って、もうちょっとしたらできると言われ夜中まで待っても届かないのでしかたなく帰る。

はっきり言って時間の無駄なので今日できないならできないと言って欲しいのだが、急に出来上がった衣装が作業場から届いたりすることもあって、その時に居ないと他の同じ衣装の出場者に先に取られて後回しにされてしまうのでできるだけその場で待っている必要があるのだ。

しかも今回は山車に乗る人達22名が赤、青、黄色の3種類、アーラ(床の上を隊列を乱さず行進するカーニバルにおいて一番人数の多いパート。露出の無い大き目の衣装の場合が多い)の衣装14名、子供9名と5種類の違う衣装があり、それぞれ衣装班の担当グループが違ったりするのであちこちに確認を取らなければならない。

アーラの衣装のグループからは2日前になって間に合わないから手伝いに来てほしいと言われ、生徒さんたちを連れて手伝いにも行ったのにそれでも衣装の大部分がまだできていないのだ。

契約書を交わしたというのに他の項目も守られず、あんまり約束と違うしその場しのぎの嘘ばかり言うので私は怒り狂い(ブラジルでうまくやるにはいいやり方でないとはわかってはいるのだが)もともとは仲良くしてもらっていた責任者にガミガミ文句を言っていたらすごい勢いで逆ギレされ無視されたりえげつない意地悪までされるようになってしまった。

ああ、書きながら思い出したらまた腹が立ってきた。

 

当日、急に日本人がたくさん出場するのが珍しいとその朝のテレビの生番組の撮影が入ったため行ける人たちで撮影に行き、結局その帰りに衣装をピックアップするという算段になった。

のに。

撮影後の当日の朝に取りに行ってもやはりできておらず、作業場からは何も届いていなかった。

昼くらいまで待ち、もうこれは帰って支度をしないと間に合わないと一度みんなで家に帰ることにする。

今度は集合時間を少し早めてチームの練習場に寄り、そこで衣装を受け取ってからカーニバル会場に行く、という作戦に切り替えた。

このチームの出場順は2番目と早く、0時20分に出場予定となっていた。(カーニバルは夜中から朝まで)

3時間前には衣装をつけて会場で待機しておく必要があり、道路が混むのも予想して早めに出なければならない。

衣装受け取りに時間を要するため18時半出発にはしたが時間の猶予はあまり無かった。

だがそんなに直前ならばさすがに衣装も出来上がっているはずだ。

というか出来上がって無いわけがない。

願望も込めて自分にそう言い聞かせ、家でカーニバルに出るための一通りの用意をし皆さんと再合流しこの日本人ツアーのために用意した専用バスに乗り込む。

 

 

本日の本番までの流れをバスの中で再度確認をし、皆で今日のパレードのチームの曲を歌いながら士気を高めていく。

 

受け渡し場所のチームの練習場に着いてすぐに衣装が届いているかを確認する。

 

だが、衣装の大部分はまだ届いていなかった。

 

 

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