ブラジル・日本人サンバダンサーの華麗な日常

ブラジルに住む日本人サンバダンサーの全く華麗ではない日々

ブラジル・ファベーラのクリスマス

やあやあ、皆様お元気でしょうか?

ブログを更新しないまま、あっという間に一年が過ぎてしまった。

何も書くことが無いと言いながら、

家で脳貧血で倒れ額をぱっくり割ったり(飲みすぎ、去年12月、病院送り)、今まで暮らしていた同居人が少しずつ出て行ってしまったり(11月~1月)新しい同居人の一人とどうも気が合わず毎日死ねと思いながら暮らしたり(去年12月~6月)、耐えかねてやや郊外に引っ越しを決めたら、嫌いじゃないほうの新同居人がコロナで陽性が出て自分も自宅待機を余儀なくされ引っ越しが延びたり(6月)引っ越し初日にキッチンの15センチ超の巨大ナメクジと目が合ったり(6月)、近所のポンジアスーカル(という名前のチェーンスーパー)の出口で目の前を歩いていた人が万引きで捕まるのを目撃したり(1週間前)と、記憶にかなりの偏りは見られるも、それなりにいろいろな事があったが、ここでは私の空白の一年をかいつまんでダイジェスト走馬灯形式でお届けするに留めておきたいと思う。

 

ブラジルに来てから、友達のパーティーに呼んでいただいたり、旅行に行ったり、ひとり深夜バスの中で過ごしたり、何も予定が無くて装飾まばゆくきらびやかな(当時は装飾が派手にされていた)パウリスタ通りを寂しくて泣きながら歩いたり、などと、さまざまな形でクリスマスを過ごしてきたが、コロナ禍になってからのこの二年は家で大人しく過ごしている。

なので今日も(12月24日)ランジャタイのYouTubeぽんぽこ生配信(録画)をかけながら、この煮えたぎる負のパワーを有効活用してこのブログにぶつけているのだ。エコロジー万歳。

 

だが実は、今日は本来はある予定にお声をかけていただいていた。

サンパウロのブラジランジアという地区のファベーラ(貧民街)のクリスマスのボランティアで、そこでずっとボランティア活動をしているおじさんに誘われて2年前もお手伝いに行った。今日はその話だ。

 

朝早くからおじさんが迎えに来てくれて(慣れないところだし一人で行って迷ったりしたら生命の危機だ)家から車で1時間近くかけて会場に着くと、もう他のボランティアの人たちがちらほら来ているので一緒に準備をする。

ファベーラの向かいにある大きい道路沿いの、スポーツなどもできる施設の中の広いグラウンド脇にボランティア用のテントが設置されていた。

まず私にくだされたミッションは、テントの下で軽食を作って無料で渡すというものだ。そこにはホットドックとわたあめとポップコーンコーナーがあり、

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その横にはジュースを無料で配るテント、奥には子供の顔にペインティングをするおばさんまで待機していた。

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豊富な色合いが用意されていて、ちいちゃなスパイダーマンやお姫様が量産されていく(希望者によっていろいろ選べる)

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そしてグラウンドには子供たちが遊べるように空気を入れるでっかい遊具が4つほど用意されてあるなど、これが全部無料なんて夢のよう、こりゃさぞかし子供たちにも喜んでもらえることだろう、と胸が高鳴った。

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私はホットドック係に任命されたので、準備をしておいた真ん中を切ったパンに、用意された大鍋いっぱいのソーセージのひとつを挟んで紙にくるみ、並ぶ人たちに渡していった。

私も、我こそは社畜国家・日本の国民のはしくれなので、ついつい休みなく一生懸命働いてしまい(それでいいんだが)一緒に働いた皆さんにも助かったと言っていただけた。

 

労働の汗、輝く私。

 

そんな中、真夏なのにゴツイ革ベストを身にまといグラサンをかけた15名ほどのならず者たちが爆音でジングル・ベルをかけながら門のほうへバイクで乱入してきた。

 

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サンタだ!

 

 

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サンタさんだった!!!

 

こんなマッドでマックスなサンタは初めてだ。

最高にイカレてて最高にイカしている。

単品じゃなく女連れなのも痺れる。僕らのサンタはモテモテなのだ。

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GIFでは見にくかったかもしれないが、サンタの女(スケ)の座席の後部にもいかついしゃれこうべが何個もついている。

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町のならず者と思われた子分?たちも皆さん気立てが良く、持ってきたたくさんのプレゼントをちゃきちゃきと運んでくれていた。

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サンタ大人気。

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サンタはモテモテの上に人望も厚いのだ。

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少しの間そこにいる子供たちにプレゼントを配った後、サンタ一味はまた颯爽とワイルドな風になり去っていった。

 

ここで本格的にプレゼントを配る時間は予め決まっており、私を誘ってくれたおじさんがサンタとなって夕方前に本格的に配ることになっていた(さっきのワイルドサンタとは別)。

 

仕事前にちょっと見せてもらったところ、大きな部屋にすでに山のような新品のおもちゃが用意されていた。

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まるでサンタになるために生まれてきたようなこの男こそは、私を誘ってくれたおじさんだ。

 

このおひげはこの日のために毎年頑張って伸ばすのだそうだ。

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夕方となり、この施設に来た子供たちへプレゼントを配るというコーナーも、食べ物等のサービスも終了となった。

 

だが、いよいよここからがメインイベントとなる。

 

この日誘われたのは、このファベーラ界隈をおじさんがサンタの格好をして子供たちにプレゼントを配るのを手伝って欲しいと言われたからなのであった。

これから車にプレゼントを積んでファベーラ中に配りに行くという。

私はどんな感じでお手伝いをするのだろう?、と思っていると、サンタ服に着替えたおじさんと、女サンタに扮した女性、他数人とともにここにおまえも乗れ、と屋根の無い4WDの荷台に乗せられる。

 

道路交通法とかは大丈夫なのか。

 

そんな心配をしている間も無く4WDはプレゼントを積んだトラックと数台の車を従えて発車された。

f:id:joE:20211225063406j:plainアベックサンタは荷台の一番前に立った状態で町の人々に手を振りまくりながら、道の子供たちにプレゼントを配りまくる。

というか速度的に間に合わない時もあるので、プレゼントを荷台から投げまくり、道行く人々にプレゼントをくれと追いかけまくられ、後続のトラックは絶え間なくクラクションを鳴らしまくり、犬にほえまくられ、ひゃほーと叫びながらファベーラを駆け抜けまくる。

いろいろ過剰すぎて、生まれて初めて使う‘’クリスマス・ハイ‘’という言葉がよぎった。

危険な貧民街の中においてこの一団こそがまるで盗賊のようで、もう一体誰が町の荒くれ者なのかわからない。

心の中のドナドナ・デスメタルver.のビートも早まるばかりだ。

 

 

私の仕事は主に、トラックから下しては荷台にめちゃめちゃに埋め尽くされるいっぱいのおもちゃたちと共生しつつ、それをWサンタに渡しながら女サンタの風に舞い上がるスカートをパンツが見えないようにおさえる、というものに落ち着いていった。

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大人も子供も、みんな喜んでくれたようでとても良い一日を過ごすことができた。

 

絶対毎年来よう、と思っていたのであるが、このコロナ禍である。

去年も今年もこのボランティアに誘っていただいたのだが、もし万が一ここで感染して私が誰かに移してしまったらと思うと踏ん切りがつかず、とても残念だが今年も見送らせていただいたのだった。

このブラジランジアという地区は一時期サンパウロで一番感染者が多く、

 

www.nikkeyshimbun.jp

 

あまりにも酷い状況を聞いて私も使い捨てマスクと電子レンジの皿(これは自分用のを間違えてポチった)を送ったりもしたのだが、何もできない自分が歯がゆかった。

 

 

来年こそはまたお手伝いに行けたら、と思っている。

 

早くパンデミックが終わって、みんなが安心して好きな場所に行ける日が来ますように。

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