このブログを通して最近知り合った、熱烈な私のブログファンだという奇特なぴちぴちギャル(実在の人物)に続きを待っていると言ってもらったので、今日はかれこれもう6年ほど前に書きかけのまま放置していた、飛行機に乗り遅れた話の中編を載せようと思う。
《前編》はこちら
さて、かように私は日本行きの飛行機に乗り遅れたわけだが、
皆さんも、ブラジルで日本へ一時帰国をする際に空港への道路が混んでいたため(と、余裕を持って出発しなかったため)家に引き返すタクシー代すら持っていないというシチュエーションの(あらすじだお☆)私の気分になって一緒にハラハラしていただきたい。
まず、私の乗るはずだった某エアラインのカウンタ―に足を運び、次の便に乗せていただきたい意思を強く伝える。
「わかった、次の便は経由が変わってロス経由になるからね。」
案外簡単にカタがついた。
到着が少し遅れるだろうがそれはしょうがない。
「だが追加料金を払ってもらわないといけない。900レアルだ。」
前編でも書いたように所持金は小銭のみで、そんなお金持ってない。
「そもそも今日は道がものすごく混んでいたせいで遅れたんだよ!!それに今そんなお金持ってないよ!」
と告げた。
(道が混んでいた+寝転んでアイスを食べたりと呑気に暮らしていたせいなのだが、それを言ったら何もかもおしまいだ)
実際にその日は猛烈に道が混んでいたので私以外の人もたくさん乗り遅れていた。
だがカウンターの青白い顔をしたお兄さんは眉ひとつ動かさず冷酷に
「じゃあ家に帰って金を取って明日また来い」
と言う。
家に帰ったからといって家に一銭も残してきていないのでそもそも取ってくるお金が無い。
しかも成田には友達たちがわざわざ休みを取って迎えに来てくれる約束になっている。
なんとしてでも今日中の便に乗せて欲しい。
困り果てたあげく、
手持ちの日本円を空港の両替所でブラジルレアルに替えられるのではないか、
というアイディアがひらめいた。
幸い手元にはちょうど通常のレートであれば900レアル以上になる日本円を持っていた。
これだ!!
このひらめいた感はまさしく裸電球が頭上のふきだしの中で光っているかんじを思い浮かべていただきたい。
早速カウンターのお兄さんに両替所はどこだ?と聞く。
次の便に乗るには11時半までに戻って来いと言われる。
必ず戻ってくるから席を確保しておいてくれと念を押し、カウンターを後にした。
その時点で10時20分くらい。
そんなには時間が無い。急がなければ。
割と近くに両替所があったので日本円を両替できるか確認する。
“できるけど、ここでしてもあんまり得なレートじゃないよ?”
と言われるが手持ちの日本円を替えるといくらになるか聞いてみた。
“***レアルになります。”
って、ほんと安い。
レートが悪いにもほどがある。くそぼったくり価格(?)だ。
全部替えても900レアルの半分にも満たないくらいなのだ。
これではどうしようもないとしょんぼり肩を落としていると、両替所のおじさんが他の搭乗口から遠い両替所に行けばもっとレートがいいよ、と教えてくれる(ううう、優しい(涙))。
空港内に両替所はあと2つあるようだった。
迷いながらまずはそこから近い方の両替所に行く。
空港は広いので近い方と言っても結構距離がある。
そこでも少しはましになったもののまだレートは高く、依然として900レアルに届かない。
もうひとつの両替所は到着口のそばのとても遠いところにあった。
日本円を全額替えたらいくらになるか聞いてみるがあと80レアルほど足りない。
手持ちの小銭をかき集めると30レアル弱であった。
820+20(+小銭9レアル)=840(+小銭9レアル)
900レアルまであと60レアルほど必要という計算だ(小銭は含まず)。
ああ、もうダメだ絶望だ、と思い目の前が真っ暗になった。
だが少しして、
そうだ!!ブラジルの口座にちょっとだけお金が残っているはず!
と思い出して希望をつなぐ。
引き返しキャッシュディスペンサーを探し試してみるが機械の都合により引き出しができない。
隣の機械に移るも、今はこの機械は引き出しには使えませんけど?と操作画面に言われる(ブラジルではこういうことは良くある)。
もう約束の11時半が迫っているが、なんとしてでもお金をおろし全額耳をそろえて、換金した札束をカウンターのお兄さんの横っ面に叩きつけなければならない。
搭乗口のほうに戻りながら、他のお金をおろす機械を探す。
言い忘れていたが、荷物は預けられていないので大きいスーツケース2つと機内用スーツケース1個、さらにもう1個機内持ち込みギリギリの大きさのボストンバッグの大荷物をカートに乗せてずっと大移動をしていたのだ。
広い空港内をカートと言えど大荷物と共にあちこち探し回ったせいで汗だくでゼーハー言いながらもやっと使える機械を見つけることができた。
試しに100レアルおろすので試してみるが口座にお金が足りないと言われる。
80レアルでもだめだ。
最後の砦となる60レアルおろすのを試すため、60、と祈りを込めて操作画面に数字を入れる。
さすがに半分あきらめかけていたが、なんと、OK、おろせるよ!と言ってくる。
すげえ!!
自分でも驚いた。
どうだろう、このギリギリっぷり。まさにギリギリガールの面目躍如だ。
あわててひったくるように60レアルを取り、また一番遠いところにあった両替所に戻って日本円を全部換金し、大量の荷物を載せたカートを操る手さばきもさっきより軽快に、最後の力をふりしぼってこけつまろびつ急いでカウンターに向かう。
間に合った!!11時半前だ。
時計の針は11時29分を指していた。
カウンターが混んでいたが急がないといけないのでお金、持ってきたよ!と言って手に持ったお金をひらひらさせてカウンターのお兄さんにアピールすると、まだ列の後ろで待っていろ、と制される。
待っているうちに11時半を回ってしまったがお兄さんも待っていろと言うし、こちらの事情はわかっているのだからまだ大丈夫なのだろうと判断し、大人しく後ろに並んだまま順番を待つ。
自分の番になりお兄さんに、ほら、お金持ってきたよ!!と満面の笑みで誇らしげに伝える。
お兄さんはこっちをろくに見もしないで、
「ああ、もう時間過ぎたからだめだよ。今日はこの次の便は無いし、明日の夜に出直して来て。」
と、冷たく言い放った。
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