ブラジル・日本人サンバダンサーの華麗な日常

ブラジルに住む日本人サンバダンサーの全く華麗ではない日々

12年ブラジルに住む私が日本の方に知って欲しい、コロナ禍におけるブラジルの状況2(2020年6月21日現在)

とうとうブラジルのコロナ感染者数が100万人を突破した。

一カ月くらい前からこんな日が来ることは覚悟ができていたので、もはや感覚は麻痺してしまい、今更驚きはあまり無い。

だって、ブラジルだもの。

さらに、ある病院の責任者の見解によると、実際の感染者数は公式感染者の10倍はいる、という話もある。

 

ただ、まだ日本のブラジルコロナ感染についてのニュースのコメントを読んでいると、

①ブラジルはコロナに対して何も対策を取らず、ノーガード戦法なので仕方が無い

②大いなる実験としてどうなるか日本の対策に活かしたいのでそのまま続けて結果を見てやろうじゃないか

③ブラジルは南半球なので季節が冬なのでさらなる感染が予想される

 

などというコメントが未だに多く、なんだかなあ、、、と思う。

もちろん、事実として感染者が爆発している状況で、どんなに個人でがんばってる人はたくさんいる、と言ってみたところで現実の前ではぐうの音もでないのではあるが、誤解と思われる部分について私なりの考えを書いてみたいと思う。

 

①こちらでも既に書いたように

 

joe.hatenadiary.com

 

6月から緩和されたとはいえ、ブラジルは全くのノーガード戦法という訳ではない。日本よりも感染者が少なかった時期から日本よりも早く、そして厳しい規制が多くの州でなされていた。

そういうとこに実情も知らないのにコメントをしてしまううっかり屋さんはどうしても、“ノーガード戦法”というパンチラインを使うのが嬉しいらしい。

確かに引きのある言葉だが。

 

②の“大いなる実験”のこれも、①のノーガード戦法ありきのコメントだ。だから違うってば。

ある記事では、ちゃんと州ごとの規制がされていると明確に記述があるのに、そのコメント欄に「ブラジルのノーガード戦法を大いなる実験として観察し、日本の対策に役立てるためにどんどんやって欲しい」みたいなことを賢しげに書いていて、そんな短い記事からも文章をちゃんと読み取ることのできない思い込みの激しさと貧しい読解力で、もしブラジルが本当にノーガード戦法だったとしても、果たしてこの人は日本の対策に活かすことができるのか、大丈夫か?友達はいるか?、とその方の行く末までもがとっても心配になってしまう。

 

③まずは、それより前に、ブラジル全土がいつも夏のような気候だと思っている方がいる。まあ、これは論外なのだが、ちょっとワイは知ってると言わんばかりに今はブラジルは冬だから感染者がもっと増える、という見解を持つ方も多い。ブラジルは確かに南半球なので、日本と季節は逆だ。コロナは冬に流行るのではないかと言われていることもあり、そのような意見が散見されるのだが、現在感染が激しくなっている地域はその中でも北東部の方で、(ざっくり言うと日本とは逆なので北が暑くて南が寒い)例えばアマゾンの方はほぼ常夏である。(日本で考えたら沖縄のような気候と思ってください)例えば南東部に位置するリオでも、冬であっても天気が良くて気温が上がれば日中はビーチで過ごすことができるくらい暑くなることもしばしばだ。ブラジルの国土は日本の23倍なので、十把一絡げに語ることはできないことは覚えていて欲しい。

 

結局、何が原因でこんなに感染者が増えているのかはわからないなりに、現在私が予想する範囲では、ブラジルの政治の状況や貧富の差や国民性によって感染が爆発してしまっているように思う。

原因はもっと時が経ち、専門家の研究などによってでしかわかることは無いにしても、実情として感染が爆発しているブラジルという国は、とにかく日本人にとって恐怖であろうとは思う。

私も日本に住んでいたらそう思だろうし、なんとも言えないが、なんだか悲しくなってしまった。

①~③の全部に言えるのは、自分から遠い知らん国でいくら人が死んでも自分が無事なら構わない、お前らは自業自得だ、こっちに迷惑をかけるな、という感じがしんどくて、私にこんな記事を書かせているのだと思う。

 

ブラジルは普通の皆さんにとって遠い国だし、状況がわからないのも仕方ない。私だってブラジルに来る前は常夏のヤシの木の下で半裸の黒人がウッホウッホと踊っている、くらいに思っていた(それは情弱過ぎるが)

まずは第一に、自分や、自分の国を守りたいという気持ちも至極当然だと思う。

 

コロナ感染に関しての事実は事実なので、特にブラジルを擁護するつもりは無い。

 

ただ、ブラジルについての基本の知識も無く、記事に書いてあることさえ読み飛ばし事実を捻じ曲げた捉え方をしてそれをしたり顔で流布するのはいただけない、黙っていられない、という話だ。

 

そういうことだ。

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まだ軽食屋さんなどでは店内の飲食は禁止されている

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美容院はシャッターを少しだけ開けて人数を制限しながら営業を開始しているようだ