ブラジル・日本人サンバダンサーの華麗な日常

ブラジルに住む日本人サンバダンサーの全く華麗ではない日々

ブラジルのエステに行ってみた話

カーニバルも近い。

追い込みの練習等のせいもあって私の膝の状態は全く回復の兆しを見せず、去年の今頃とほとんど変わらず同じくらい痛い。

まずはここで膝おじさん完全終了の悲しいお知らせです。

 

joe.hatenadiary.com

 

膝、と言えば、今日ブラジルのエステということろに行ってみた。

カーニバルも近いので、もう自力ではどうにもならない昨今、ちょっと試してみようじゃないかと思い立ったのだ。

なぜ膝と言えば、なのかというと、私は自分の丸膝の上に乗っかっている肉をこよなく憎んでいるからだ。

もう思春期の頃から長らく、ダイエットをしてみたりいろんな努力をしたのに足が全然細くならず膝の皿はでかいままその上に鎮座した肉はたるみおまえは膝にゾウさん飼ってんのかっていうくらいなもんで、若い頃お風呂の中で必死で塩もみ(粗塩♡)をしてる最中に悲しくなって、“こんなにも足が太いのだからもう本当に死のう…”、と泣きながら決意したこともあったほどだ。

 

思春期恐るべし。

よかったのかわるかったのか、次の日からもお菓子を食べたりしながら、今日までのうのうと生き延びている。

まったく私の膝には現在まで見た目にも故障にも悩まされっぱなしだ。

私のコンプレックスヒストリーはチェーン状に次から次へと繋がって語り始めると自分の人生以上に長くなってしまう可能性の高いパンドラの箱であるので(特に飲んだときな。)これくらいにして。

 

まあ、カーニバルも近いし、興味もあったし、ブラジルで試しにエステというとこに行ってみようかなと思ったわけだ。

 

でも、もちろん金は無い。

なのでGROUPONを使って近所で安いものを探してみた。

具体的にどんなことをするのかポルトガル語の説明で理解しきれないので、安くてそれっぽいものに直接行って後学のためにも一度体験してみようじゃないか。

私が購入を決めたクーポンはスーパーセールということで、

25000レアルが79レアル

になっていた。(※79レアルは2000円ちょい。2019年2月現在)

 

どんなお人よしが見ても絶対嘘だとわかる割引率だったが、そこはいろんなセッションを試せるというパッケージだったので、まあ一回行っただけでもこの値段なら諦めはつきそうだし、変なとこだったらもう行かなければいいし、ブラジルの経験値上げとしても、まあ騙されたつもりで行ってみよう。

と理論武装して購入してみた。

 

騙されたつもりで、という状況の場合は大抵騙されるものだ。

 

案の定、90日間限定のセッションなのに1回目の予約を取るまで一ヶ月近くかかった。

やはりか、と思ったので、そんなに待たされるなら購入自体キャンセルしたい、と言うと、一回目の予約までは時間がかかるが、その次からはすぐに取れるから、と説明され、疑いつつもしぶしぶと従った。

GROUPONでは、わざと頻繁に予約が取れないようにしたり、他のコースを執拗に勧められたりする、と聞いたことはあってこれもそれのようだな、と思ったが、ひとまずここは目をつぶろう。

まあ、向こうも商売だし、多少はしょうがない。そんな安くばかりやっていたらあちらも商売あがったりだろうしな。

 

で、今日、やっと待望のセッションに行ってきた。

大通り沿いのビル街の大きい綺麗なビルの6階にある、よくありそうなサロンだった。

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問診表に記入すると小さい部屋に連れていかれ、気になる部位などを聞かれる。

担当と思われる愛想の良いちょっと太めの女の人(だいたいここの従業員がことごとくどっちかというと太目だった)が、幹部と思われる痩せた(この人だけが痩せていた)小さい白人の40~50代くらいの女性を連れて部屋に入って来る。

彼女は私の丸膝をチェックするとゾウさん部分をぷるっとつまみ、まあ、これは酷いわね!あなたはこのセッションをやったらいいわ!!と言って目の前の机の上にある問診票の裏にせかせかと3つの項目を書いて内容を説明しながら印をつけていく。

長い説明が続き、これは私の買ったパッケージに含まれているのか?と聞くと含まれて無いと言う。その3つのセッションは10回のパッケージで全部で5000レアル(15万)ほどだ、という。即決できるか。アホか。

悲願の膝象肉除去には心の底から興味はあり、やってみたい気持ちで私の心も膝の水もいっぱいに溢れたが、一回も試していないものをわあわあとせわしなくポルトガル語でいくら説明されても、わけのわからないパッケージを即決15万で買うほどには私は金持ちでもうっかり者でもなかった。

ある程度他の売り込みをされるのはもちろん織り込み済みだったので、とりあえず今日のところは様子見に徹して絶対に契約してはいけないと、お金は彼が出してくれるので彼に聞いてみないとわからない、という嘘を瞬時について攻撃をかわす方針を立てた。

だが執拗に食い下がって来て、架空の彼(ちなみに聞かれるままに答えていたところ、彼は日本人の商社マンで、働き者でお金はあるけど亭主関白でちょっとケチなところが玉に瑕☆、という設定になっていった)に相談して次に決める、と何度も言ってるのに、

『ほら、あなたは爪を綺麗にケアもしてるじゃない!それと一緒よ?!(たまたま材料費だけで爪をデコってもらったばかりだった)彼に相談しないで自分で買わなきゃ!あなただって働いているんでしょ?どうしてもというなら彼に今から電話して聞きなさい!だってこんなチャンスもうないのよ!今日は特別に5000レアルだけど、普段は倍くらいするの。もう今日を逃したらこの価格であなたに案内できないのよ?ねえどうして!?こんなにお得なんだもの、彼氏に聞かないで自分のお金で買えばいいじゃない!分割だってできるのよ?現代の働く女性がそんなに彼氏に聞かないと何もできないなんてダメよ!!』

うるせえ。

おまえに私の彼(架空)を悪く言われるいわれはねえ。

あ、言ってないか。でも、どっちにしてもそんなことまで言われる筋合いはねえ。大きなお世話だ。

しかし絵にかいたような定型のセールス手法だ。

話をしているうちに彼女がまるでビー玉のような目をしている事に気が付いた。

どこの国も同じだな。

今もあるのだろうか原宿でキャッチに捕まって雑居ビルの小部屋に連れ込まれた人にラッセンの絵(レプリカ)を高額のローンで買わせようとしている人と同じ目だ。

相手を値踏みし人とは思っておらず、目の奥が虚ろで感情が無い。

ビー玉があんまりしつこいので、今日は時間が無いから、そして彼氏に聞いて次のセッションまでに決めてくるので、とにかく今日は今日のセッションをして帰りたい、と数回押し問答をた挙句やっと解放されセッションに入れた。

足に変なぬるぬるしたものを塗られ、ド新人と思われる子が2~3分やる気ないマッサージをしたあと、何の光も出ないただの大型マッサージ器のようなもので5分ほど両足をブルブルして、ハイ終わり、と言われた。

曰く、今日は他の機械が壊れたので、今日はこれしかできない、という。

 

ウソつけ。

 

なるほど、そういうことか。

 

 

 

最近こちらに長い日本人の友人が言っていて思い切り膝を打ったのだが、

 

ブラジルにいると辛抱強くなるか、攻撃的になるか、それとも誰にも関与せずに生きる術を身につけるか、じゃないかねぇー

 

なんて話をしていて、私は、その状況とテンションにもよるのだが主に攻撃と関与せずの混合型であり(いつまでたっても決して辛抱強くはならないの♡)、この国では理不尽な目に遭うことも多いので、よっておこりんぼ型と化す時も多い。とにかく文句を言わなければどうにもならないことも多々あるからだ。それで正しい主張をしてもやはり何にもならなくて徒労にまみれるだけのことのほうが多いにしても。

 

ちなみにその友人は、日本で普通に暮らしていて小学校六年生の時にお母さんに、

さあみんなこれから出かけるわよ~、

と軽く言われて、幼心にほうほうこれから家族で旅行かどっかに出かけるのだな、と思いついて行くと、そのままブラジルに連れていかれ住むことになっていた、というなかなかに香ばしくワイルドな環境を生き抜いてきた経緯があるので、彼女のブラジル観にはいちいち重みがあるのだ。

 

 仕方なし、帰り支度をして受付で一応次の予約を取ろうとすると、あと20日後しか予約が取れない、という。

1回目以降はすぐ予約ができる、って言ったじゃない!?と言えば、

ええ、その時はそう言ったと思うわ。予約自体は空いてるの。でもあなたは彼女(ビー玉)の査定によって20日後以降しか取れないということになったの。そう決まっているの。

と、ぶっちゃけてきた。

その頃には受付のその彼女の目もどんどんビー玉のようになってきていた。

あげくに今日やっていないセッションの項目にまでサインをしろ、と言われたので、さすがにそれはひどいと抗議するも、わかった、と言いながら他のスタッフにここに適当にサイン書いといて、と後ろでしらっと言っている。

要は初回にもっと高い契約をしない貧乏人にはクーポンの正規のセッションも全てやらせず、予約の間隔をできるだけ開けるように指示されているのだろう。こんな文句を言われるのは良くあることなんだろうな、と感じさせる堂々たるたたずまいだった。

私は親玉ビー玉のお眼鏡にかなわなかった、ということだろう。

しかも今日の私の恰好と言えば、すっぴんに髪の毛をてっぺんで無造作にお団子にしてノーアクセサリー、パーカーにアディダスのスパッツにスニーカー、という、私がこのエステで働いていたとしても、こいつ、すがすがしいほど金の臭いしねえな、と即座に戦力外通告を突きつけたくなるような出で立ちであった。

 

最後にさすがに腹も立ったしもう来ないだろうなとも思い、

いくら安いクーポンの客で他の契約をしなかったからって言ったって、あなたたちの扱いは酷いと思うよ、と捨て台詞を言って受付を後にする。

 受付嬢はビー玉の目に一瞬だけ苦いものを浮かべた。

 

しょうがねえ。

 

 

ほうらね、騙されたつもりで、って時はこんなもんさ。

 

自分にも反省点はある。

これも経験さ。

 

まあ、負け惜しみなんだが。

 

私がブラジルで完全『我関せず型』となる日もそう遠くないのかもしれない。