またもや更新が滞ってしまっていた。
セバスチャンロスで私が生きる気力を失い断筆したと思われた方もいらっしゃるようだが、時は過ぎ今はひとりでもわりと平気になったし、それが理由ではない。
実は7~8月中に1か月程、欧米ロックミュージシャンばりに緊急極秘来日?をしていたのだ。
どうしても膝が治らず困り果て、日本で治療をしてみようと思い立った。
それに他にも体調の不安もあるし、出来る限り病院に通い検査や治療もしてみよう。
奇しくもセバスチャンが家を去って数日後に出発であったので、その数日さえ乗り切れば日本の生活で気も紛れるであろうというベストタイミングであった。
でなければ心が折れたまま家中で彼の面影を探してはしばらく泣き続けていたことであろう。(実際出発の日までは何を見ても悲しくてメソメソと暮らしていた。)
今回の帰国では身体のメンテなどがメインだったため、ゆっくり時間が取れず、連絡もできないで不義理をしてしまった友人知人たちには申し訳ない、などと思いあがってもみたのだが、私が気にするほどは皆さん私のことを気にしてはいないようだったので、ここで許しを乞うほどでもないような様が正直やや寂しくもある。
膝に問題が生じてから軽く1年以上が経っていた。
疲れが溜まると非常に痛く、走ることも、まともに歩くことさえままならない。
ブラジルでは結局良くわからなかった原因も、日本で病院にかかりさえすれば解明できるのではないかと希望を持って治療に臨んだ。
いろいろ前もってネットで調べたりはしていたのだが、“サンパウロ在住・とび出せ!膝痛仲間(名称仮)”から情報を集めたところ、それなりのリハビリの設備の整っている整形外科ならば、日本の実家から近いところにひとまず行ってみるのが良かろうということになった。
その実家の近所の整形外科を訪れるも、午後の部の始まる1時間前に着いたというのに、もう病院の待合席は主に老人でいっぱいだった。
2時間ほど待ち、軽い診察とレントゲンを撮り、さらに待たされた後レントゲンを見ながらメインの診察の番がやっとやってきた。
足をいろんな方向に動かし、痛いかどうか質問されレントゲンを見てまもなく、あっさりと結果が発表された。
先生「こりゃ膝に血か水が溜まってるね~。」
膝に水!!
今まで何度かそういう人の話は聞いたことがあったが、まさか自分の膝に水が溜まる日が来るなんて若かったあの頃は想像だにしていなかった。
先生「注射器で水を抜いて、痛み止めも打って、ヒアルロン酸を何度か入れたらだいぶ良くなると思うよ~」
膝の水を、抜く!!
今まで何度かそういう人の話は聞いたことがあったが、まさか自分の身の上に注射器で膝の水を抜く日が来るなんて若かったあの頃は想像だにしていなかった。
ところで人類は大きく2種類に分けられることを皆さんはご存じだろうか?
そう、それは、
膝に水が溜まったことのある人間
と、
溜まったことの無い人間
の2種類である。
ああ、私はついに知らず知らずのうち昔の自分には無縁であったはずの、はるか遠いあの橋の向こう側に渡って来ていてしまった。もう何も知らなかった無邪気なあの頃には戻れない。
先生の話をぼんやり聞きながら、青春時代にそっとグッバイを告げているうちに、着々とミーのニーのウォーターは抜かれていった(ようだ)。
恐ろしくてずっと目をつぶっていたため、注射針を突き刺す気配とその痛みだけが治療が行われている証だった。
薄目を開けて終わったのかと聞くと、ほうらこんなに取れた、と先生が目でこれを見てみろと促してくる。
1円と50円玉ほどの太さの、ぶっとい注射器だ。
え?嘘?これ?今から入れる薬じゃないの??と非常に驚いて何度も質問した。
水と言うからには無色透明かと思いきや、私の膝の水は、それはそれは鮮やかなみりん色をしていた。1回の診察につき25ml以上取れていたので、計4回通って100mlは抜かれた。この調子で1年も通い続けたらば、きっとものすごく痩せられたんじゃないかと思うのに残念だ。やはり継続は力か。ザ・膝水抜きダイエット。
結局、膝の水を抜き抜き、5回くらいヒアルロン酸を入れればだいぶ良くなるだろうという話だったが、私には日本にそんなに長く滞在する時間は無い。
1週間に一度しかその施術はできない決まりということだったので、ま、3回くらいでも何とか、、という医師の言葉に期待を寄せて、そこで治療を続けることにした。
するとどうでしょう、たったの1回の治療で、あんなに痛くてたまらなかった膝が嘘のように調子が良い。痛みもほぼ無いし、何より、昔のようにストレス無く動かすことができるのだ。期待以上の効果だった。
日本の医療に感動するとともに、2つの病院に行っても原因すらわからなかったブラジルの病院は一体何だったのだろう、と疑問がわいてくる。だって、日本でもさんざん待たされはしたものの、具体的な診断には5分も要さなかった。
さらに言えばブラジルの2つ目の病院は診察料がバカ高く、膝プロとの触れ込みであったというのに、痛みさえ取れればオールオッケーだいじょうV!とだけ言われ、さりとて痛みを取る具体的な方法は提示されず、ネットで調べたらその成分は膝に意味無いから~と評判のなまっちろいサプリのみを処方され、その上帰り際に何万もかかる検査を勧められたのだ。(結局その検査はしなかった。)
注:ただし、医療等はブラジルの方が進んでいる部分も多々あるということなので、私の経験はあくまでもブラジル医療レベルを一般化するものではない。
膝プロ先生は、たくし上げた私のしっかりとしたまるい膝をを見るなり「ああ、こういう形の膝の人は痛くなるんだよな笑」と、なんの診察もする前から軽いタッチで、私の身体をウン十年も一生懸命支え続けてくれた無骨ながら愛すべき丸膝をディスりやがり鼻で笑いながら片腹を震わせていた(ように見えた)ため、卑屈な暗い感情が私に少々穿った見方をさせているのかもしれない。
それでもともかく、
日本医療最高~♪
とごきげんに治療にいそしみ、そこでめでたしめでたし、といけば良かったのだが、私は他にもさらなるミッションに取り組まなければならなかったりもしたので続きを読み進めて欲しい。
実は最近、右胸にけっこうでっかい“しこり”を見つけてしまった。
脇からの右胸の外側のラインにライオネスコーヒーキャンディ2個分くらいのしこりがはっきりと感じられる。
逃げまどい嫌がる仲の良い友人たち男女問わず無理やり触らせてみても、やはりそのライオネスには確かな存在感があると、皆もれなく同意した。
そんなことで、これもまた地元の女性専用と謳っていた乳腺系専門の病院の門を叩いた。
レントゲン写真を撮ったり検査をし、最後に先生から触診され診断が下される。
先生「このしこりは腫瘍ではありません」
ああ、よかった、とライオネスな胸を撫でおろしていると、先生は聞き捨てならぬタイムリーな一言を言い放った。
先生「このしこりは水が溜まったものです」
水!!
また水か!!
私は全身水たまり人間なのか。
と、何事も無くて良かったものの、愕然としてしまう。
まあまあ、それでも胸にも腫瘍は無いと言うのだし、膝も治ったなら良かったじゃないですか、という話なのだが、そう簡単にもいかず、膝はブラジルに戻り2週間も経たず痛みはじめ、かつてないくらい膝の上がぼっこり腫れて膨らんできてしまった。
なんでも水を抜いたところでもともとの炎症を根治させないと、結局患部を冷やそうとする働きにより体内の水が集結してしまうということなのだ。うーん身体というものはよくできているなあ。この人体の神秘よ。
とか呑気に感心している場合ではないのはわかっている。
このひざ上ぼっこり君はもう診断されるまでも無くおなじみ水が溜まったものであるだろう。
ところで私の星座は知的でクールなみずがめ座さんだ。
ちなみに胸の水のほうは特に抜いたりはしないでいいらしい。
結局振り出しに戻っただけか。
さて、どうしよう。
さらにちなみに近況を付け加えると、大家の果てしない滞納のせいで、もう2週間ほど家のガスが止められています。
さて、ほんと、どうしよう(泣)。