ブラジル・日本人サンバダンサーの華麗な日常

ブラジルに住む日本人サンバダンサーの全く華麗ではない日々

さよなら、ハム子 

昨日、隣のハム子(仮名)夫妻がとうとうアパートから出て行った。

このブログを読んでくれている全国の女子高校生の諸君には一大事件であると思う。

緊急速報だ。

 

速報1位 ハム子、布団捨て母の家にお泊り

 

などというふうに、

もしかするとはてなブログなのにアメーバブログの小窓の芸能blogニュースに載ってしまいかねない案件である。

 

以前も書いたが、

joe.hatenadiary.com

と、前から宣言していたように、サンドラさんは行動を起こした。

冷静沈着では全く無いが、もみ上げの長い不吉な数字が末尾についたスナイパーくらい有言実行な人だ。

常に昼夜問わず大声で夫婦喧嘩を繰り返すハム子夫妻にとうとうサンドラさんの堪忍袋の緒がぶっちぎれた。

 

昨日夜遅く、サンドラさんが廊下で私の名を呼んだ。

joE、いる?

そんな時間に訪ねてくるのは非常に珍しいので、ここリオで暑さをしのぐためのハレンチ・ナイティStyleでまどろんでいた私ではあったが起き上がってドア越しにカーテンを押し開けて応じる。

 

ねえ!やっと出て行ったと思ったら、この部屋の不潔で汚い事!!ありえないわよ!台所も下水も詰まってシャワーも壊れっぱなしで、こないだ出て行ったスエーリョのとこよりもよっぽど臭いの!彼女は専業主婦なのによ!ろくに掃除もしないで旦那が帰ってきてもご飯も作らないで、文句ばっかり言ってるからしまいには殴り合いのケンカなってたのよ!!部屋もところどころ傷だらけで、やっぱりケンカした時にいろんなものをなぎ倒してたせいだわ!それにほら、これを見て!!これに服を漬けたりして洗濯してたのよ!信じられる?!!

と言ってぐいぐいとハム子の部屋に残されていた垢まみれのバケツの内側をかかげ見せつけてくる。

 

いきなり情報が多い。

 

つまるところによると、連日の烈々たる夜中にまで繰り広げられる夫婦喧嘩に堪えかねた大家のサンドラさんによって、ついにハム子夫妻はアパートを追い出されることとなったという話からのそれであった。

今すぐこのすごく臭くて汚い汚物まみれの隣の部屋を見に来い!と言われたが丁重にお断りさせていただいた。

昨日今日も、スエーリョが出て行ったはずなのになんかチーズっぽい腐臭というかありていに言えばどこからか〇〇〇っぽい臭いがするなあと気になってはいたところではあった。

 

出て行ったというのは初耳であったが確かに物凄い怒鳴り合いや泣き叫ぶ声を私も常日頃から聞いていたし、サンドラさんが何度も夜中に起きだして止めに行くほどエスカレートすることもたびたびであったらしい。(正確に言うと、止めに入らなければならなかったほどひどいケンカは何回あったのか?と問うと、指を折って4回、と答えた)

スエーリョがいなくなった後に入った隣人は普通に日中働いているし、真夜中に何度もケンカをして叫ぶのは近所に大変に迷惑であるので、もういい加減にしないと出て行ってもらうことになるとは何度も勧告済みであったのだった。

 

この前の真夜中のすごいケンカの時にとうとう言ってやったの!もうあと一週間で出て行け!って。もし出て行かず今度夜中にケンカしたらぐつぐつに煮沸かした熱湯持ってぶっかけて大怪我させてあんたたちが病院に行っている間にこの部屋のもの全部道にぶちまかして鍵も変えて二度とこのアパートに入れないようにしてやる!ってね!!!

と、熱湯のくだりをさらに二度ほど繰り返して言う。

そこはよほど大事なところなのだろう。

 

有言実行暴走機関車サンドラ。

 

 

二度と夜中にケンカをしないとは誓えなかったのだろうか、それですごすごとちょうど一週間した昨日、二人は出ていくこととなったようだ。

私は昨日も先一昨日もハム子と出がけにちらっと顔を合わせたのだが、一応挨拶するとテンションの低い様子で「・・オイ、、」とアパートの階段下の道の、穴だらけでボロボロの布団と家具が捨て置いてある横に立ち、くぐもった返事っぽいものを返すのみであった。

年末なので布団(正確に言うとマットレス)などを新しく買い替えたのかな?と特に気にも留めていなかったが、まあ実はそういうことになっていたのであった。

 

私としてはハム子がいようがいまいが正直どっちでもいいのだが、ちょっとあることがひっかかった。

その前日に期せずして霊力を持つという人にカード占いのようなものをやってもらうこととなり、いろいろ言われたのだがその中で、

あなたの家の近くであなたのものを盗んで襲おうと狙っている者がいる。それは男女のカップルよ。本当に気を付けて。できればすぐ引っ越したほうがいい。

と言われたばかりだからだ。

その占いの彼女とはここ3か月ほど前からの知り合いであったが、私の身の回りの細かい話などしたことはなく、その時にまず真っ先にハム子のことが頭に浮かんだ。

ただの占いをそんなに鵜呑みにしてはいないが、こんなタイミングであるし、何かの逆恨みでちょろそうな私にまで怒りを向けうっぷんを晴らそうとはしまいかという妄想をしてしまいちょっと心配になった。

今日買い物帰りに庭掃除をしていたサンドラさんに会った。

「今日もあの子(ハム子)は私の目も見ないしうらめしそうに挨拶もしないのよ。自分が悪いくせして追い出した私に対して怒ってるの。」

「あなたは正しいけど、私も怖いよ。へんな逆恨みされないように気を付けてね。」

と言うと、そばにあった防犯用に常備してあるらしいナイフをすぐさまつかみ、

「もしそんなクソみたいな理由で復讐なんてしてきたら、これで返り討ちにしてやるわ!」

 と私に向かって目を剥き突き刺す素振りをかましてくる。

 

さすが魔性の格闘アメーバ我らがサンドラさん。

 

ここは闘いのワンダーランドなのか。

※参考資料

プロレスラーキャッチフレーズ集【現代のガリバー旅行記】 - NAVER まとめ

 

 

大丈夫だと思うが、万が一の話、サンドラさんほどたくましくない私がもし強盗殺人などに遭ってしまたと伝え聞いたら、ちょっとハム子周辺のことを疑ってみて欲しい。遺言。

 

まあそれはおもしろくもない冗談だとしても、

もう今後このブログにハム子の話が出てこないのだ、、、と、早くもハムロスに罹ってすっかり生気を失ってしまっている全国の佐川急便系男子も多いことと思う。

 

だがそんな皆さんに朗報だ。

アメーバblogの注目トピックスに上がっていたように、ハム子は布団を捨てたその足で、すぐ隣のアパートに住む母親の家に泊まって身を寄せているからだ。

そして風という名の噂好きなサンドラさんが、またハム子の香ばしい噂を私を介し、きっとすぐにあなたの街まで運んでくれることだろう。