ブラジル・日本人サンバダンサーの華麗な日常

ブラジルに住む日本人サンバダンサーの全く華麗ではない日々

泥棒の国のポロロッカ

わりと長くブラジルに住んでいるので、日本にいる方や仕事で最近こちらに来た方などからすると、私はブラジルが好きで好きでたまらないから住んでいる、というように思われるようだ。

全国のちびっこ達の夢を壊すようで申し訳ないが結論から言うと、そうでもない。

もちろん大してブラジルを知らない人にブラジルのことをディスられたらイラッとするし、かなりの愛着は持っている。

しかし長く住んでいればいるほどこの国の問題も見えてくるし、どこの国に行ったってパラダイスなど存在するわけでなく、それはここブラジルも例外でない。

日本人のまったくステレオタイプな、

ブラジルではいつも真夏の太陽が輝き、人々はみな明るく朗らかで悩みなんて何もなく、歌って踊りながら陽気に生きている、というイメージは幻想だ。

今すぐ寝ろ。そしてすべて忘れろ。

そして困ったことに残念ながら私はあまり融通の利かないタイプであるらしく、ブラジルの文化をそのまま受け入れることが難しいようなのだ。

だからいつも怒っている。

やれスーパーのレジの人が混んでいるにもかかわらず仕事もろくにしないでしゃべっているだとかのささいなことから(でもいつもついイラついてしまう)、

治安に関する深刻なことまで、次から次に私にとっては「ありえない」ことの連続で、日々消耗がはんぱないのだ。(※個人の感想です。)

 

その中でも特にありえないと思った話をしよう。

私は長らくガカケーで生活していたのだが、去年やっとスマホというやつを買うことにした。(2016年現在)

人に貰ったガラケーがかなり古くなっていたこと、

日本でも使えるスマホが売られていること(一時帰国の際に重宝)、

それに加えブラジルでのスマホ所持率が高くなったので目を付けられて盗まれる危険性が低くなったと判断したからであった。

 

サンパウロ随一のダジャレ好き日本人IT牧師(情報多いな)として有名なトクロン先生(本物のプロテスタント系の教会の立派な牧師先生です)に相談させてもらい、

ブラジルではいたるところにあるディスカウントストア的な店のインターネットのサイトをお勧めの機種とともに相談してから3秒でメールしてくださったので、それを利用してみることにした。

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さらにご親切なことに、お金は商品が着いてからでいいから買っといてあげようか?とおっしゃってくださったのが、

いえいえ、自分のことですから自分でやってみます、などと意地を張ったのが運の尽き、ちゃんと申し込み代金も支払ったのに待てど暮らせど品物が届かない。

ネットで品物がどこにあるのかが把握できるようになっているのだが、店を出荷し、今近くの郵便局に着いているよ、というところで止まっている。

通常2週間と言われていたのだが、ブラジルだから大幅に遅れることもあるだろうと放っておいたら1か月も過ぎてしまった。

そんなある日、店からお知らせのメールが届く。

 

その備考欄にはこう書いてあった。

 

 

 

この品物はどこにあるのかわかりません。

 

 

目を疑った。

まさかぬけぬけとそんなことを高らかに発表するメールのみを寄越すわけがない。

あまつさえ謝りの言葉やなんらかの説明など何も書いていないのだ。

そのメールはもちろんポルトガル語で書いてあるので、私のポルトガル語の能力の未熟さのせいで読み間違えているのであろうと自分を納得させ、後日ポル語の先生に見せて聞いてみた。

 

 

先生はなんともないように、

「ああ、品物が無くなっちゃったって。

流通の中で携わった誰かが盗んだんだね。よくあることよ。」

と平然とおっしゃる。

 

 

まじか。。。

 

 

しかし私の常識で考えればそのままになることはありえないので、クレームを入れれば新しいものを送ってくれるのだと思っていた。

 購入した店のHPを探しても問い合わせをする場所がどこにも記載されていない。何一つ、トラブル発生時のメールも電話番号も。

お金を支払った店頭にも話をしに行くが、とりあってもらえない。

購入のやりとりの際のメールを確認すると、クレームなど専門の別会社と思われるところとメールでしかやりとりは行えないようになっていて、連絡するとわりとすぐ謝りの返事が来た。

大変申し訳なかったが品物を新しく送るなどの対応を考えているので次の連絡を待て、という内容だった。

これでなんとかしてもらえると思ったのだが、さらに1か月、待てど暮らせど何も具体的な補償に関する連絡が来ない。

頭に来て、早く連絡よこさんかいゴラ、という内容をマイルドに薄めたかんじの怒りのメールを何度か入れてみたのになしのつぶてだ。

どうしようかと考えあぐね相談した結果、お人よしで名高いネイティブの友人(最弱の弟)に流暢で上手な言い回しで代筆してもらうことになった。

私はブラジルに住まわせていただいておりますポンコツくそ外国人でごぜえますのでちゃんとポル語が使えず何度か失礼な言い方をしてしまってそちらからしたらへそで茶をわかすほど生意気だったのですが、そこはメス豚以下のくされチンパンのパンパンのすることだとお思いになって平にご容赦いただき、あの件がどうなっているのか恐れ入りますがご一報いただけませんでゲスでしょうか?ゲヘゲヘ。

(※感情的になっているため行間を卑屈に読み意訳してお送りしております。)

というようなことを書いていて、

なんで向こうが悪いのにこっちがへりくだって謝らなければいけないんだ!ふざけんな!ひき肉にしてやんぞ!!と憤懣やる方なく激しい怒りを弟にぶつけてみたが(迷惑)、これはブラジルのやり方だから、と下がり眉の弟に諭されてしぶしぶその文面を送った。

 

そこまでしても、返事は来ない。

 

そんな状態なのでその後また弟に付き添ってもらい消費者センター的なところに行ったのだが、手続きが煩雑で簡単になんとかなる気配は無く、

誰かに頼らなければ外国でまともに正当な主張すらもできない自分の小ささをかみしめ、

もうこれ以上弟の手を煩わせるのもはばかられたのともう他に手段を見つけられなかったので、結局そのままになり泣き寝入りすることになってしまった。

店は実際に発送しているので根本的には悪くは無く、悪いのは品物が配達されるまでの中のどこかで

「お、これ新品のスマホの小包じゃん☆ラッキー、誰も見てないし、盗~ちゃお♡」

 てな感じで盗んだと思われる悪いやつなのだが、

客先に届く前に紛失してしまったのは明らかなのだから、やはり店側がきちんと対応し補償してしかるべきであると思う。

 

ダジャレIT牧師から実は購入前の相談の際、届かないなどのトラブルがままあり、それを解決するのはブラジル人であっても死ぬほど面倒くさかったり大変なので、実際に泣き寝入りしている知人もいるとの話は聞いていた。

だから購入慣れている牧師が親切に代わりに買っておいてあげようかと提案してくれたのだが、今さら後悔してもあとのサンバカーニバル(楽しそう(泣))だ。

大きい有名なディスカウントストアのネット販売であっても、代金を支払った店頭でも、電話でも問い合わせの窓口は存在せず受け付けてもらえず、下請けと思われる苦情専門の会社へもメールでしか連絡をとることはできないし返事も来ない。

どのケースでも返事が来ないなどとは考えにくいが、こういうシステムややり方はブラジルではわりと一般的で、めずらしいことではないようだ。

携帯やインターネットの解約なども猛烈に煩雑で、少し前までは店頭で解約ができず、クレームも一切受け付けず、電話を通してしか問題を解決することができなかった。(今は店頭で解約できるようになったもよう)

店内にクレーム用の無料電話が設置されているのを見たときは力が抜けた。

受付の店員さんはクレームと判断するとその話はここでは受け付けられません、と頑として譲らない。

でも大丈夫!ほ~らここに無料でクレームができる専門の電話があるからいくらでもクレームができるよ!と案内してくる。

もうなにがサービスであるのかというこの、根本的なサービスという概念のゆらぎ。

またその電話がなかなかつながらず、つながっても話すのに何時間もかかったり、確認のため何度も一度電話を切って調べてまたかけ直すから待っていろと言われなかなかかかってこなかったり、突然に途中で何度も電話が切れたりする。

一説によると、クレームの気概をくじくためにわざと切ったりするとかしないとか。切れてしまうとまたつながるまでに時間がかかる上、別の人が出てまたいちから説明しないといけないので面倒がらせあきらめさせるための作戦だという。

以前急にひと月だけあり得ない額のインターネットの料金を請求されたことがありクレームを入れた時は何度も途中で切れたり(電話)キレたり(自分)しながら実質通話時間3時間以上も費やさねばならなかった。

それがやつらのやり方なのだ。

 

 

ポルトガル語の先生に衝撃の事実を突き付けられ呆然とし、

「よくもぬけぬけと「品物が無くなりました」てだけのメールを送って寄越しますね!!!!しかも誰かが仕事中パクッたって、、、」

「この国はバカなの?!バカの国なの!!!!??」

と先生の前で怒りにまかせて暴言を吐くと、

「バカなんじゃないの、この国は泥棒の国なの。」とあっさり言う。

自分の国なのにひどい言い草である。

私はこのころ立て続けにこういった目に遭ったり騙されたりしていたところだったのでひどく傷つき乱暴な気持ちになって、

「もうそういうブラジル人は一人残らず全員アマゾン川に流してしまえ!!」

と興奮しまた悪態をつくと、

「アマゾン川にはポロロッカという大潮による逆流現象があって、いくらアマゾン川から流しても海までいかずどうせみんなプカプカ戻ってくるだけだから無駄だよ」

と冷静に返された。

 

ぎゃふん。

 

 泣いてもわめいても、良くも悪くもブラジルの現実は現実としてそこにある。

理不尽なことばかりに思えるが自分で選んでブラジルに住んでいるのだから適応して生きていかなければならない。

ブラジルのたくましさと自然のおおらかさを私も少しは見習うべきなのか。

 

 

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お手数ですが、二つとも足跡だけでもつけていただければ助かります

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