ブラジル・日本人サンバダンサーの華麗な日常

ブラジルに住む日本人サンバダンサーの全く華麗ではない日々

私の彼はバンジード♡

以前リオの家の近所にヤスミンちゃんというお友達が住んでおり、

いつも家に入りびたり良く遊びに連れて行ってもらっていた。

その頃の彼女はまだ若く独身で元気だったので、アッチのほうもなかなかお盛ん(昭和的表現)であった。

彼女は20代ながらも結婚も離婚も3回していて、二人の子供もいたのだが、仕事の都合もあって子供は普段は自分の両親と暮らし面倒を見てもらい、まあ、遊び回ってもいた。

(彼女の名誉のために言うと、別にブラジルだとそういうこともままあるので日本でのように眉をひそめるようなことでもない。

彼女の家には週末に一緒に過ごすように子供部屋も用意されていたし、

彼女は一家の稼ぎ頭であったので両親としても子供は預かりますからどうぞじゃんじゃん稼いできてください、というところもあったので。)

 

余談だが、私が一度も結婚をしたことが無いと言うと彼女は驚いて、

まあ!私は3回もしてるのに、かわいそう!!とちょっと自慢気に、憐れむような目で見られ軽く友情にひびが入りかけたことがある。

そんなに何回も結婚も離婚もすんなよ、とこっちとしてはつっこみたいが、これも常識の違いであろう。

 

サンパウロから久しぶりに戻ったある日、ヤスミンに会うと彼女はこう言った。

『私の新しくできた彼って、バンジードなの♡』

私は当時バンジードという単語を知らず、

でも、彼女のちょっと誇らし気な様子から見てこれは何か素敵な役職の方なのだということは察し、

へえ、おめでとう!じゃあ彼は権力もお金もあるんじゃないの?いいわね!

とカンとノリだけで答えると、彼女も満足そうにしていたので今度紹介してくれるということになりその日は別れた。

家に帰った後で、そうそう、あの単語実はよくわからなかったんだった、

とBandidoを調べてみると、

一番始めに

 

 

 

 

泥棒

 

 

 

 

 

と記してあった。

 

泥棒?

 

どろぼう?

 

ドロボウ?

 

何度見返しても泥棒は泥棒だ。

泥に棒と書いての泥棒。お口のまわりのまあるいヒゲにハンチング、唐草模様がイメージキャラクターのあの人だ。

 

他の辞書も調べてみると、

 

盗賊

 

強盗

 

追いはぎ

 

ギャング

 

と、剣呑な言葉が続く。

 

……… マジか…。

 

どうやらその彼氏は近くのシマのギャングで、その中でも結構上の方の立場であったらしい。

 

 

………若かった日のことだ。

 

 

今は彼女は自分の家を建て、別の男性と4回目の結婚して一緒に暮らしている。